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J2520 湖東三僧伝 信冏 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0616A01: 湖東三僧傳
J17_0616A02:
J17_0616A03: 開山淨嚴房隆堯法印は當國栗太郡河邊佐佐木義成が
J17_0616A04: 晩年に出家して大蓮房といへり嫡男なり母藤氏夢に蓮華一莖を得ると
J17_0616A05: 見て身ただならず月みちて應安二年庚戍正月二十
J17_0616A06: 五日誕生し給へりおさなきより京の舅氏に外典を學
J17_0616A07: びたまへるに一聞千悟なりける一日初冠の禮をとと
J17_0616A08: のへ隆賴と名づけたてまつるここにさるべき縁しや
J17_0616A09: をはしけん永和三年の春叡山に登りて剃染し給ひし
J17_0616A10: に遂に薰修功つもりて法印大和尚位にすすみ給へり
J17_0616A11: しかるにもとより名利をいとひ交衆をうとみただ思
J17_0616A12: ひを一代の聖敎に潛め意を十乘の妙觀に凝したまふ
J17_0616A13: にいかんせん難解難入にして修証たやすからざること
J17_0616A14: をかかる機はいかがして生死をはなるべからんとて
J17_0616A15: 滿山の諸尊はさらなり國界の靈塲に普く祈りたまへ
J17_0616A16: り中にもことに石山寺にあゆみをはこびたまひしがそ
J17_0616A17: の三十三箇月なりける應永十一年六月午の時寶前に
J17_0616B18: 跪きしづかに念誦すとおぼす程にさながらねふり給
J17_0616B19: へり夢に香染の袈裟めしたる高僧の内陣よりあゆみ
J17_0616B20: いで給ひ汝が所願滿足すと仰らるるとみてさめたま
J17_0616B21: ひぬ法印の三部の假名抄の跋に爰に隆堯向阿上人の正忌に丁て靈夢の奇瑞を感得すとかきたまへるはこのことなるべし
J17_0616B22: はれまたいかにいみじきことかあらんと感涙袖をし
J17_0616B23: ぼりつつ本尊にいとま申してまかんで給へる途に思
J17_0616B24: ひかけぬ唐裝束したりげる異の童部法印に七卷の書
J17_0616B25: を進らせて搔暮見へずなりぬさてはとてもちかへり
J17_0616B26: みたまへるに去んぬる元享の頃向阿上人まのあたり
J17_0616B27: 遣迎二尊の説をきき末法の今なほ機敎相應して容易
J17_0616B28: 生死を出離すべき法はただ淨土の一門本願の稱名な
J17_0616B29: らではと所詮をしるし給へる三部の假名鈔にてあり
J17_0616B30: ければ實に我所願滿足しぬるよとてついに四明の衆
J17_0616B31: をのがれ向阿上人の遺跡淨華院の定玄僧正の室に入
J17_0616B32: てふかく吉水の流をくみ應永十一年三十六歳の冬當
J17_0616B33: 國栗太郡金勝山の峯の奧なる金勝寺聖武皇帝の勅願良辨僧正の開創なり 後
J17_0616B34: 奈良院の御時には大菩提寺ともいへり又八宗院と古記にみへたりといふの草庵今に金勝寺のゆるぎ岩の東の方に淨嚴房屋敷

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