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J2500 向阿上人伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0597A01: これを信用して他のためにさへ解説せられたりされ
J17_0597A02: はふるき書寫の本世におほく侍るしかるに近世の學
J17_0597A03: 者ははしめより和字を辨髦してつやつやこれをよま
J17_0597A04: すむへなるかな心の優なき事すこふる田夫野人とい
J17_0597A05: ひつへしいやしくも言中の旨歸を得ぬれは漢字もま
J17_0597A06: た月をさす指にあらすや。
J17_0597A07: 御よはひやうやうかたふきて後は花洛の憒閙をいと
J17_0597A08: ひ林下の幽閑を愛し並岡の東池上といふ所にかたは
J17_0597A09: かりなる庵をむすひてすみ給へりたまたま門人のた
J17_0597A10: めに西要をとき給へるころ障子のつまに書つけ給ひ
J17_0597A11: ける。
J17_0597A12: 池上にわれたにすまは吉水の
J17_0597A13: なかれのすゑはたえしとそ思ふ
J17_0597A14: この歌つたへて里人の口にあり。
J17_0597A15: かなしきかな生者必滅のためしは賢愚をゑらはさる
J17_0597A16: ならひなれは 光明院の御宇貞和元年六月二日大漸
J17_0597A17: の期ここに臨てしきりに高聲念佛し給ふ時に昊天高
J17_0597B18: くはれて紫雲ななめにそひき彌陀照臨してひかり室
J17_0597B19: にみち聖衆羅列してかけ庭にしき異香ちかく薰し天
J17_0597B20: 樂軒をめくるほと端坐して西にむかひ寂然として息
J17_0597B21: たえ給へり形容ことにすくれて眼口ゑめるに似たり
J17_0597B22: その春秋八十三なり嗚呼法燈すてにきえ宗脈たえな
J17_0597B23: んとす緇素の哀慟すること慈父を喪するかことし。
J17_0597B24: 凡その平生の雅行臨終の靈相ほとほとたた人にあら
J17_0597B25: すかならす大士の應現なるへし今の西光菴はその歸
J17_0597B26: 寂の地なりすへからく西方の行者この遺跡に參詣し
J17_0597B27: て恩德を報し像前に稽首して道心をいのるへきもの
J17_0597B28: なり。
J17_0597B29:
J17_0597B30: 向阿上人傳卷下
J17_0597B31:
J17_0597B32: (本傳序、縁起、跋)
J17_0597B33: 向阿上人繪詞傳序
J17_0597B34: 上人行狀。載籍極博。而至其始末。則及史闕文。

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