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J2500 向阿上人伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0596A01: たりて西戸に月殘れりさらはやうやうとて立出給へ
J17_0596A02: は群集の貴賤もさのみはいかかとてをのをの退散せ
J17_0596A03: り。
J17_0596A04: 爰に上人去年の秋眞如堂にしてしめし給へる靈夢の
J17_0596A05: むなしからぬ事をかんしてますます佛恩をあふき兩
J17_0596A06: 度の聞法をありのままにしるしてなかく迷方の指南
J17_0596A07: に殘すへしとて其夜さらに御堂にこもりてこのこと
J17_0596A08: をうかかひ給へるに尊像まのあたりあゆみよらせた
J17_0596A09: まひて氣たかき御聲して桃李は一旦の榮花松は千年
J17_0596A10: の綠これ彌陀一敎利物偏增のしるしなりとのたまひ
J17_0596A11: て松の枝を給はるとおもひておとろきぬれは現に一
J17_0596A12: 朶の松ありき未曾有の事なりかしされはかの筆もこ
J17_0596A13: の松もみとりの色かはらすして淨花院の鴻寶となり
J17_0596A14: て近來まてありしとそ。
J17_0596A15: 既に佛勅をうけ瑞物をたまはるうへははやく筆記す
J17_0596A16: へしとてやかてたちかへり靜室にこもりて所聞の法
J17_0596A17: をありのままにしるし給へりいはゆる歸命本願抄三
J17_0596B18: 帖西要抄上下是なり他日さらに父子相迎上下をしる
J17_0596B19: して師承の旨を述し淨敎の本意をあかすこれをさき
J17_0596B20: の二抄にそへて一具とし給ふすへて三部七册をの
J17_0596B21: をの和字の抄なれは世に三部のかな書といひ又は松
J17_0596B22: 筆の御抄と稱す眞如堂縁起にもおそらくは我朝の佛
J17_0596B23: 説なるをやといへり。
J17_0596B24: ここに因人重法のことはりなれは渴仰の貴賤展轉し
J17_0596B25: てきそひうつし稱名の家には是をつたへて秘要とせ
J17_0596B26: り應永のころ隆堯法印ときこえしは緇林の翹楚台敎
J17_0596B27: の白眉なりといへとも道心深固にして淨土門に歸し
J17_0596B28: ことに三部の秘抄を信しふかく上人の德行をしたひ
J17_0596B29: 瑞夢を得て此抄を開板しみづから後跋をしるし給ふ
J17_0596B30: かの師大要抄にもとりわきて上人の語をのせられた
J17_0596B31: りまた永正のころ山門花王坊の圓信阿闍梨もふかく
J17_0596B32: 此抄を信し三部の要語を抄出し往生捷徑となつけて
J17_0596B33: 世にひろめ給へり其外一心の稱念公藝陽の以八師飯
J17_0596B34: 沼の鎭譽洛陽の騰蓮社なといへる道者學生おなしく

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