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J2420 法然上人伝絵詞 琳阿 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0280A01: 海にととめ孫子賴綱は西方界の敎主阿彌陀如來に歸
J17_0280A02: 依して神を西刹にすましむ宿縁契ふかく前途賴あり
J17_0280A03: しかうして御棺を荷て洛中をとをしたてまつるに面
J17_0280A04: 面に涙をなかし各各袖をしほるおそらくは雙樹林の
J17_0280A05: 夕の色拔提河の曉の浪もかくやと哀にそみへける惣
J17_0280A06: して但念佛の行人一向欣求のともから千餘人なりか
J17_0280A07: の月氏栴檀の尊容をぬすみ奉りし時若干の軍兵をお
J17_0280A08: こしてうははんと企き此日域本師遺骸を改葬したて
J17_0280A09: まつる時災難なからむや嵯峨にて火葬し奉るにさま
J17_0280A10: さまの奇瑞共あり靈雲そらにみち異香庭にかほる其
J17_0280A11: 後眞影をうつして遠忌を修し禮賛をまうけて月忌を
J17_0280A12: いとなむに門門戸戸に誰人か三五夜中の光をおしま
J17_0280A13: さる國國處處に何の堺か六八弘誓の雲をのそまさら
J17_0280A14: むや遺弟の一念をあらそふ遙に末法萬年の命をつき
J17_0280A15: 累葉の六字を唱ふるすみやかに本願三心の旨をあら
J17_0280A16: はす
J17_0280A17: 遺骸奉移の圖
J17_0280B18: 上人修行の初先當伽藍に詣て給ふ定て御祈精の旨侍
J17_0280B19: けむ釋迦彌陀契ふかく此土他土縁あさからすして遂
J17_0280B20: に遺骨を件の地におさむ初從此佛菩薩結縁還前此佛
J17_0280B21: 菩提成就と云へりまことなるかなや抑西霞館は嵯峨天
J17_0280B22: 皇の御跡なり則阿彌陀堂を建立して西霞寺と號すか
J17_0280B23: たはらにおなしき御まやを食堂とし雁屋を鐘樓とし
J17_0280B24: 泉殿を閼伽井とすいまの釋迦堂はいつみのなをかり
J17_0280B25: て淸凉寺とす聖骨をおさめ奉らむかために敬て寶塔
J17_0280B26: 一基を建立し念佛三昧を勤修して阿波院の御骨おな
J17_0280B27: しく是をおさめ奉るをくら山のふもと中院の靈場は
J17_0280B28: 大乘善根の堺なり今二尊院と號する是なり
J17_0280B29: 遺骸荼毘嵯峨鴈塔の圖
J17_0280B30: 凡上人の德行自他諸宗ゆゆしき事勝計すへからすま
J17_0280B31: つ法相には贈僧正藏俊三論には大納言法印寬雅天台
J17_0280B32: には座主顯眞薗城寺には長吏僧正公胤花嚴には法橋
J17_0280B33: 慶雅眞言には少將の上人實範はしめは謗してのちに
J17_0280B34: は歸す仁和寺の法親王御歸依尤ふかし竹林房の靜嚴

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