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J2420 法然上人伝絵詞 琳阿 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0261A01: もせす弘行のつねのならひ先德の故實なり是を異域
J17_0261A02: にとふらへは月氏にはすなはち護法淸辨の空有諍論
J17_0261A03: 震旦にはまた慈恩妙樂の權實の立破なりこれを我國
J17_0261A04: に尋るに弘仁の聖代戒律大小のあらそひ有り天曆の
J17_0261A05: 御宇には諸宗淺深の談あり八家きをいて定凖をなし
J17_0261A06: 三國つたえて軌範とすしかれともあらかしめ末世の
J17_0261A07: 邪亂をかかみて諸宗の討論をととめられしよりこの
J17_0261A08: かた宗論なかくあとをけつり佛法それかために安全
J17_0261A09: たり就中淨土の一宗にをきては古來の行者ひとへに
J17_0261A10: 無染無着の淨心をおこし專修專念の一行にまかせて
J17_0261A11: 他宗に對して執論をこのます餘敎に比して是非を判
J17_0261A12: せすひとり出離をねかひて必往生の直道をとけむと
J17_0261A13: なりたた弘敎嘆法のならひいささか又その心なきに
J17_0261A14: あらさるか源心僧都の往生要集の中に三重の問答を
J17_0261A15: いたして十念の勝業を讃す念佛の至要此釋に結成せ
J17_0261A16: り禪林の永觀智德惠心に及すといへとも行淨業をつ
J17_0261A17: けりえらふところの十因にその心また一致なり普賢
J17_0261B18: 觀音の悲願をかむかへ勝知敎信先蹤を引て念佛の餘
J17_0261B19: 行にすくれたる事を證せり彼時に諸宗のともから惠
J17_0261B20: 學はやしをなし禪定水をたたふしかりといへとも惠
J17_0261B21: 心をも破せす永觀をも罸せす諸敎も滅する事なく念
J17_0261B22: 佛もさまたけなし是則世すなをに人うるはしき故也
J17_0261B23: しかるを今世澆季にをよひ時鬪諍に屬して能破所破
J17_0261B24: ともに邪執よりをこり正論非論みな喧嘩にをよふ三
J17_0261B25: 毒内にもよをし四魔外にあらはるるかいたす所なり
J17_0261B26: また或人のいはく念佛もし弘通せられは諸宗たちま
J17_0261B27: ちに滅盡すへし爰をもちて遏妨すと云云この事しか
J17_0261B28: るへからず過分の逆類にをきては實によりて禁斷せ
J17_0261B29: らるへしまたく淨土宗のいたむところにあらず末學
J17_0261B30: の邪執にいたりては上人嚴禁をくわへ門徒すてに服
J17_0261B31: 膺すかれといひこれといひなむそ佛法の破滅に及は
J17_0261B32: むや凡顯密の修學は名利によりて破滅すこれ人間の
J17_0261B33: さたまれる法なり淨土の敎法におきては名にあらす
J17_0261B34: 利にあらす後世を思人のほかにたれか習學せんや念

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