浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0238A01: | 計なりとて。偏に上人勸化の詞を信じて。稱名の行 |
J17_0238A02: | おこたらず。病床に臥して後。或時俄に涕泣せらる |
J17_0238A03: | る事ありけるを。弟子驚て是をたづね申しければ。 |
J17_0238A04: | 明禪。聖覺とて。つがひてひとにいはるなる。不足 |
J17_0238A05: | 言の對揚かなと。年來思ひしが。唯今ぞと思いでら |
J17_0238A06: | れたるなり。故郷の妄執をわすれざるは。淨刹の欣 |
J17_0238A07: | 求のひまあるにとぞ申されけるは。念念不捨者の信 |
J17_0238A08: | 力も。此理に顯はれ。順彼佛願故の正業も。ただ一 |
J17_0238A09: | 言に知られたり。臨終の時は。聖信上人を知識とせ |
J17_0238A10: | られけり。紫雲たなびきて往生人の相ありとて。人 |
J17_0238A11: | 多く羣集するよし。弟子ども申ければ。何條明禪が |
J17_0238A12: | 臨終に紫雲のさたまでに及ばんぞ。ただ正念亂ずし |
J17_0238A13: | て。稱名をもちて息たえたらんに過べからずとて。 |
J17_0238A14: | 頭北西面右脇臥にして。極重惡人。無他方便。唯稱 |
J17_0238A15: | 彌陀。得生極樂の文を唱へ。念佛相續し。如入禪 |
J17_0238A16: | 定して。仁治三月正月二日午尅に往生を遂られき。 |
J17_0238A17: | 上人德行惣結事 |
J17_0238B18: | 凡智惠深奧の諸宗の賢哲。多く上の勸化に隨て。本 |
J17_0238B19: | 宗をさし置て念佛に歸して。往生を遂る人人。上人 |
J17_0238B20: | 在世といひ。かの滅後といひ。覶縷にいとまあらず。 |
J17_0238B21: | 高貴の智德なをしかり。况や我等ごときの愚鈍。な |
J17_0238B22: | にをたのみてか。念佛をゆるかせにすべきや。懈怠 |
J17_0238B23: | にして念佛を行ぜず。不信にして往生を遂ざらむ |
J17_0238B24: | は。あに佛のとがならんや。抑上人の德行。諸宗を |
J17_0238B25: | 訪へば師毎に嗟嘆し。化導を施せば人毎に歸敬す。 |
J17_0238B26: | たれの人か闇夜に灯なくして室の内外を照すや。誰 |
J17_0238B27: | の人か現身に光明放や。是念佛三昧の故なり。誰の |
J17_0238B28: | 人か慈覺大師の袈裟を相傳するや。南岳大師相承云云誰の人か |
J17_0238B29: | 太上天皇に眞影をうつされ奉るや。誰の人か韋提希 |
J17_0238B30: | 夫人と念佛の義を談ずるや。誰の人か諸宮諸院に歸 |
J17_0238B31: | 敬せられ給ふや。誰の人か攝政殿に禮拜せられたる |
J17_0238B32: | や。誰の人か智惠第一の名を得たるや。誰の人か沒 |
J17_0238B33: | 後に花夷男女。家毎に遠忌。月忌。臨時の孝養をい |
J17_0238B34: | たすや。誰の人か人毎に影像を留て本尊とするや。 |