ウィンドウを閉じる

J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0233A01: 法名をつけ。戒並に袈裟をたもつべきよし上人に申
J17_0233A02: 入けるに付て。かの御返事云。誠さやうにて志計ふか
J17_0233A03: きも。出家の定にてこそは候へ。何事も時いたる事に
J17_0233A04: て候へば。強にいそぎ思召すべからず。いかにも又
J17_0233A05: すまふにもより候はず。期の至るおりはほどなき事
J17_0233A06: にて候。又戒品書てまいらせ候。假名もて戒品など
J17_0233A07: かきたるは。あしく候へば。是は寬印供奉と申候人
J17_0233A08: のせさせ給ひたる十重禁の次第にて候。三聚淨戒は
J17_0233A09: わたくしに書て候。別別に候也。袈裟まひらせ候。
J17_0233A10: 新き候へども。わざと當時かけふるして候をまいら
J17_0233A11: せ候也。名のり房號かきてまいらせ候。男ながらも
J17_0233A12: 皆法名をつけ。袈裟をかくる事にて候也。別紙に書
J17_0233A13: て候也云云。此御返事を給て後は。偏に出家のおも
J17_0233A14: ひをなして念佛しけり。其後又念珠を所望しける
J17_0233A15: 時。上人御返事云。是ほどに思召事は此世一の事に
J17_0233A16: はあらず。先の世のふかき契とあはれにおぼえ候。
J17_0233A17: かまへて極樂に此度まいり合せ給ふべく候。常に持
J17_0233B18: て候。ずずひとつまいらせ候。何事も文にはつくし
J17_0233B19: がたく候云云。又或時上人御文に云。此たびかまへ
J17_0233B20: て往生しなんと思召切べく候。受がたき人身已に受
J17_0233B21: たり。逢がたき念佛往生の法門にあひたり。娑婆を
J17_0233B22: いとふ心あり。極樂を欣心發りたり。彌陀の本願ふ
J17_0233B23: かく。往生は御心にあるべきなり。ゆめゆめ御念佛
J17_0233B24: おこたらず。決定往生のよしと存させ給べく候云
J17_0233B25: 云。又上人の御影を所望しけるに付て。或時の御返
J17_0233B26: 事に云。影の事は。熊谷入道の書て候しかども。無
J17_0233B27: 下に此姿たがひて候ひしかば。すててくだりて候
J17_0233B28: 也。されば此度もゑがきて下し候はぬには。唯口惜
J17_0233B29: 候。其かはりには善導和尚の御影をおがませおはし
J17_0233B30: ますべく候云云。我影のかはりには善導和尚の御影
J17_0233B31: をおがめと仰られた事を。ほとんど過分の御詞かな
J17_0233B32: と思けれども。人にも語らざりけるに。善導和尚の
J17_0233B33: 御影の御前にて念佛しける時。居ねぶりをしたる夢
J17_0233B34: に。上人に向ひまいらせて物語を申けるに。善導の

ウィンドウを閉じる