浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0232A01: | にかうぶらしむる。尊貴なりといへども。面をむか |
J17_0232A02: | ふればかならず崇敬し。智者也といへども。口をひ |
J17_0232A03: | らけば悉く伏膺せしむ。四十八人の能聲を調て一日 |
J17_0232A04: | 七日の勤行を修する事。所所の道場に至らざる所な |
J17_0232A05: | し。仍例のごとく年始七日の別時を修しけるが。結 |
J17_0232A06: | 願の時今七日修すべきよし。同行等に命じければ。 |
J17_0232A07: | 各命にしたがふ。二七日結願の朝。臨終正念にして |
J17_0232A08: | 眠るがごとくして往生し給へり。春秋七十四。安貞 |
J17_0232A09: | 二年正月十五日也。七日已前に死期をしれるゆへ |
J17_0232A10: | に。後の七日をのふる所なり。種種の靈異一にあら |
J17_0232A11: | ず。就中高野山寶幢院に寬泉房といへる上人あり。 |
J17_0232A12: | 彼舍弟天王寺に住しけるが。或時天狗になやまさる |
J17_0232A13: | る事あり。彼天狗は天王寺第一の唱導勸進上人東門 |
J17_0232A14: | 阿闍梨也。託云。我は是東門の阿闍梨也。彌陀の本 |
J17_0232A15: | 願にほこりてただ邪見を起がゆへに。此異道に墮せ |
J17_0232A16: | り。我在世の時おもひき。我は是智者也。空阿彌陀 |
J17_0232A17: | 佛は愚人なり。我手の小指をもてなをかの人に比す |
J17_0232B18: | べからずと。然るを彼空阿彌陀佛は。如説に修行し |
J17_0232B19: | て既に輪迴をまぬがれてはやく往生を得たり。我は |
J17_0232B20: | 此邪見によりて。惡道に墮し。生死に留る。後悔千 |
J17_0232B21: | 萬うらやましき事限なしとて。さめざめと泣けり。 |
J17_0232B22: | 智惠ありがほに慢擧の心高く。邪見のきづなをきら |
J17_0232B23: | ずば。往生の障となるべき事疑なし。上人つねの仰 |
J17_0232B24: | には源空は智德をもて人を化するなを不足也。法性 |
J17_0232B25: | 寺の空阿彌陀佛は愚痴なれども。念佛の大先達とし |
J17_0232B26: | てかへつて化導廣し。我もし人身を受ば大愚痴の身 |
J17_0232B27: | をうけ。念佛勤行の人たらんとこそ仰られけれ。念 |
J17_0232B28: | 佛を行じ極樂を欣はむ人は。愚痴をかへりみず。唯 |
J17_0232B29: | 語嘿作作。行をさきとすべきもの也。 |
J17_0232B30: | 津戸入道往生事 |
J17_0232B31: | 津戸三郞爲守は。ふかく上人の勸化を信じ。偏に極 |
J17_0232B32: | 樂の往生をねがひて。二心なく念佛しけるが。同じ |
J17_0232B33: | くは。出家の本意をとげたくおもひければ。關東の |
J17_0232B34: | ゆるされなかりける事をなげき。在俗の身なりとも |