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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0232A01: にかうぶらしむる。尊貴なりといへども。面をむか
J17_0232A02: ふればかならず崇敬し。智者也といへども。口をひ
J17_0232A03: らけば悉く伏膺せしむ。四十八人の能聲を調て一日
J17_0232A04: 七日の勤行を修する事。所所の道場に至らざる所な
J17_0232A05: し。仍例のごとく年始七日の別時を修しけるが。結
J17_0232A06: 願の時今七日修すべきよし。同行等に命じければ。
J17_0232A07: 各命にしたがふ。二七日結願の朝。臨終正念にして
J17_0232A08: 眠るがごとくして往生し給へり。春秋七十四。安貞
J17_0232A09: 二年正月十五日也。七日已前に死期をしれるゆへ
J17_0232A10: に。後の七日をのふる所なり。種種の靈異一にあら
J17_0232A11: ず。就中高野山寶幢院に寬泉房といへる上人あり。
J17_0232A12: 彼舍弟天王寺に住しけるが。或時天狗になやまさる
J17_0232A13: る事あり。彼天狗は天王寺第一の唱導勸進上人東門
J17_0232A14: 阿闍梨也。託云。我は是東門の阿闍梨也。彌陀の本
J17_0232A15: 願にほこりてただ邪見を起がゆへに。此異道に墮せ
J17_0232A16: り。我在世の時おもひき。我は是智者也。空阿彌陀
J17_0232A17: 佛は愚人なり。我手の小指をもてなをかの人に比す
J17_0232B18: べからずと。然るを彼空阿彌陀佛は。如説に修行し
J17_0232B19: て既に輪迴をまぬがれてはやく往生を得たり。我は
J17_0232B20: 此邪見によりて。惡道に墮し。生死に留る。後悔千
J17_0232B21: 萬うらやましき事限なしとて。さめざめと泣けり。
J17_0232B22: 智惠ありがほに慢擧の心高く。邪見のきづなをきら
J17_0232B23: ずば。往生の障となるべき事疑なし。上人つねの仰
J17_0232B24: には源空は智德をもて人を化するなを不足也。法性
J17_0232B25: 寺の空阿彌陀佛は愚痴なれども。念佛の大先達とし
J17_0232B26: てかへつて化導廣し。我もし人身を受ば大愚痴の身
J17_0232B27: をうけ。念佛勤行の人たらんとこそ仰られけれ。念
J17_0232B28: 佛を行じ極樂を欣はむ人は。愚痴をかへりみず。唯
J17_0232B29: 語嘿作作。行をさきとすべきもの也。
J17_0232B30: 津戸入道往生事
J17_0232B31: 津戸三郞爲守は。ふかく上人の勸化を信じ。偏に極
J17_0232B32: 樂の往生をねがひて。二心なく念佛しけるが。同じ
J17_0232B33: くは。出家の本意をとげたくおもひければ。關東の
J17_0232B34: ゆるされなかりける事をなげき。在俗の身なりとも

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