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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0227A01: 方界の敎主阿彌陀如來を歸敬し奉て。たましゐを上
J17_0227A02: 刹にすましむ。祖孫ちぎりふかく。前後たのみある
J17_0227A03: ものか。さて御棺の葢をあけたりければ。御面像は
J17_0227A04: 在世の時にすこしもかはらず。異香は數年の後まで
J17_0227A05: とをく薰じけり。誠に貴と申さむもかへりておろか
J17_0227A06: なり。
J17_0227A07: 過洛中事
J17_0227A08: 其曉やがて嵯峨へ遺骸を渡奉る時。御棺をかいて洛
J17_0227A09: 中を過るに。催さざれども。先師の遺弟。念佛の行
J17_0227A10: 人御供に參る人人一千餘人也。面面になみだをなが
J17_0227A11: し。各各に袖をしぼる。恐らくは双樹林の暮の色。
J17_0227A12: 跋提河の曉の波も。かくやと哀にぞ見へにける。
J17_0227A13: 自嵯峨奉渡廣隆寺事
J17_0227A14: 嵯峨に渡置奉りて。在所口外すべからざる旨。各佛
J17_0227A15: 前に誓て退散しぬ。しかるを猶山門のいきどをりふ
J17_0227A16: かく。さぐり求べきよし其聞へ有しかば。五ケ日を
J17_0227A17: 經て後同廿八日の夜。忍て廣隆寺の來迎房圓空がも
J17_0227B18: とに移し置奉りて。其年はくれにき
J17_0227B19: 隆寬律師往生事
J17_0227B20: 山門訴訟なをこはくして。隆寬律師にも限らず。成
J17_0227B21: 覺房。空阿彌陀佛等までも。配所定まるよし聞えし
J17_0227B22: かば。律師のたまひけるは。凶徒等吾心を知ずして。
J17_0227B23: 定照が語による歟。但先師上人。已に念佛の事によ
J17_0227B24: りて。遷謫に及給し上は。予其跡をおはん事尤本意
J17_0227B25: なりとて。長樂寺の來迎房にて。最後の別時に七日
J17_0227B26: の如法念佛を勤行せられけるに。結願の日に當りて
J17_0227B27: 異香室内に薰じ。蓮花白蓮一莖庭上に生じ。瑞花空より
J17_0227B28: ふりければ。見人は現身に往生せる歟とうたがひ。
J17_0227B29: 聞人は律師に奉仕せざることをうらむ。扨律師は森
J17_0227B30: 入道西阿承て。嘉祿三年七月五日。花洛を出て東關
J17_0227B31: に趣給ふ。配所は奧州と定められしを。森入道ふか
J17_0227B32: く律師に歸し奉ける餘り。念佛の先達に近付奉ぬる
J17_0227B33: 事。然べき宿善のいたりなりとて。律師の代官に門
J17_0227B34: 弟實成房を配所へ遣はし。律師をば西阿が住所相模

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