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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0226A01: ろともに九品蓮臺の同行となり。怨親同じく七重樹
J17_0226A02: 下の新賓たらん。善惡不二のことはり。邪正一如の
J17_0226A03: おきては。山門の使者ならば定めて聞知らん。顯に
J17_0226A04: は東關の御家人。弓箭をたづさへて狼藉をふせぐ。
J17_0226A05: 冥には西刹の念佛者。魔軍をしりぞけて凶徒をしづ
J17_0226A06: めんと云て。父子ともに馬の鼻をならべ。法に任せ
J17_0226A07: よと下知しければ。山門の使者くもの子をちらすが
J17_0226A08: ごとし。或はぼんのくぼに足をつけて命をたすから
J17_0226A09: んとするものもあり。或はひたひの間に。手をあは
J17_0226A10: せて降をこはんとするものもあり。如此するほど
J17_0226A11: に。其日はくれにけり。
J17_0226A12: 改葬事
J17_0226A13: 堂舍を破損すといへども。かやうに追散されける
J17_0226A14: が。墳墓には手かけず。かくて今夜信空上人。妙香
J17_0226A15: 院僧正月輪禪定殿下御息に參りて。今度しばらく相しづまると
J17_0226A16: いふとも。大谷は山門領也。山僧のいきどほり遂に
J17_0226A17: むなしからじ。信空改葬せんと存ずるよしを申けれ
J17_0226B18: ば。此義尤よろしかるべしと仰られける間。やがて
J17_0226B19: 今宵人しづまりて後。改葬し奉る。むかし月氏に敎
J17_0226B20: 主釋尊の尊容をぬすみ奉し時。專ら警固をいたし
J17_0226B21: き。いま日域に本師上人の遺骸をうつさんとする。
J17_0226B22: むしろ災難なからんやとて。宇都宮入道蓮生守護の
J17_0226B23: 爲に。遁世の身なりといへども。出にし家の子息郞
J17_0226B24: 徒をまねきて。數多の兵士をもて宿直し奉る。此外
J17_0226B25: 頓宮の兵衞入道西佛。千葉の六郞大夫入道法阿。澁
J17_0226B26: 谷の七郞入道道阿。鹽谷の入道信成等。兵杖を帶し
J17_0226B27: 軍兵を率して供奉し奉る。宇都宮入道申けるは。五
J17_0226B28: 材四儀はもと百勝の術也。しかれば古は偏に名聞利
J17_0226B29: 養の爲にしてなを四儀をえず。今は速に往生極樂の
J17_0226B30: 爲にして忽に一心をさとれり。家をわすれ。親をわ
J17_0226B31: すれ。生をわすれ。身をわするる事。吳起が詞今日
J17_0226B32: 既に知れたり。倩倩往事をおもへば。祖父金吾朝
J17_0226B33: 綱の朝臣は。東大寺の脇士觀世音菩薩を造立し奉
J17_0226B34: て。かたみを南都にとどめ。孫子沙彌賴繩法師は西

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