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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0225A01: とへば暗天の飛礫のごとしと。あざむきかかれたり
J17_0225A02: けるを。定照遺恨をなしけるあまり。上人往生の後
J17_0225A03: 十六年を經て後。堀川院の御宇嘉祿三年丁亥の夏の
J17_0225A04: 頃。衆徒かたらひ。天下皆一向專修に趣て。顯密の
J17_0225A05: 敎法すたれなんとす。專修念佛を停廢すべし。就中
J17_0225A06: 隆寬律師。我山の學者として。同宗をすて專修をた
J17_0225A07: つること不可然。念佛宗の張本を遠流せらるべ
J17_0225A08: し。其根本たるによりて。すべからくまづ源空が大
J17_0225A09: 谷の墳墓を破却して。彼死骸を。賀茂川にほりなが
J17_0225A10: すべき由。衆徒嗷嗷の羣議におよべり。攝政は猪熊
J17_0225A11: 殿家實。座主は淨土寺の僧正圓基。攝政殿の御兄なり。
J17_0225A12: 衆徒の濫訴すでに勅許ありければ。六月廿二日山門
J17_0225A13: の所司專當等を遣して。大谷の廟堂をこぼち捨べき
J17_0225A14: よしきこえしかば。京都の守護修理亮平時氏使者を
J17_0225A15: さしつかはす。頓宮の内藤五郞兵衞尉盛政法師法名西佛
J17_0225A16: 子息一人を相具して罷向ふ。頓宮の入道。山門の使
J17_0225A17: 者にむかひて申ける。たとひ勅許ありといふとも。
J17_0225B18: 武家にふれずして左右なく狼藉をいたす條。甚以自
J17_0225B19: 由也。しばらくあひしづまりて。穩便の沙汰をいた
J17_0225B20: すべし。若制止にかかはらずば法に任すべし。是武
J17_0225B21: 家の御下知の趣なりといふに猶不留。
J17_0225B22: 頓宮入道追―散山門使事
J17_0225B23: 頓宮入道詞をつくして問答すといへども。謗家の凶
J17_0225B24: 徒あだをむすびて承引せしめず。次第に廟墳をやぶ
J17_0225B25: り。速疾に房舍をこぼちければ。かねて。子細はふ
J17_0225B26: れをはりぬ。醫王山王もきこしめせ。念佛守護の赤
J17_0225B27: 山大明神にかはり奉て。魔縁うちはらひ侍らん。い
J17_0225B28: つはりて四明三千の使と號して。こびて四魔三障の
J17_0225B29: むらがり來る歟。もとどりは主君の爲にそのかみ切
J17_0225B30: にき。命は師範の爲に唯今捨べし。たとひ千の軍數
J17_0225B31: の兵向ふとも。いかでか一人當千の手にかかるべ
J17_0225B32: き。豈はかりきや。戰場をもて往生の門出とし。惡
J17_0225B33: 徒をもて知識の因縁とすべしとは。各南無阿彌陀佛
J17_0225B34: と稱すべし。只今一一に汝が命を召取べし。自他も

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