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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0223A01: 盡。臨終先來迎。源空本地身。大勢至菩薩。衆
J17_0223A02: 生爲化故。來此界度度。
J17_0223A03: 同閏六月廿日。僧正七十二。種じゅの瑞相を示して。
J17_0223A04: 禪林寺の砌にして。往生を遂られし日。仙洞后宮よ
J17_0223A05: り初奉て。槐門棘路に至るまで。紫雲瑞相に驚て。
J17_0223A06: 使節ちまたにみち。車馬ちりにはす。洛中洛外の道
J17_0223A07: 俗。村南村北の貴賤。結縁のあゆみをはこび。隨喜
J17_0223A08: の心をもよほさずといふ事なし。顯密の碩德。天下
J17_0223A09: の明匠にておはしつる僧正さへ。せめても宿善のい
J17_0223A10: みじくて。上人に歸し念佛を信じて。往生の素懷を
J17_0223A11: 遂られぬる事。ありがたき事也とて時の人皆申け
J17_0223A12: る。
J17_0223A13: 靜遍僧都往生事
J17_0223A14: 禪林寺僧都靜遍は。大納言賴盛卿の息。弘法大師の
J17_0223A15: 門人として。醍醐の座主勝賢僧正にしたがひて。小
J17_0223A16: 野流をうけ。仁和寺の上乘院の仁隆法印を師とし
J17_0223A17: て。廣澤の流を傳て。兩流を一器にうつせる深奧の
J17_0223B18: 眞言師なりき。然を世擧て上人所造の選擇集を依用
J17_0223B19: し。念佛に歸する人耳目にあまる。嫉妬の心を發て。
J17_0223B20: 選擇を破して念佛往生の道をふさがんとたくみ。破
J17_0223B21: 文をかくべき料紙まで用意して。是を披見し給ほど
J17_0223B22: に。日比の所案にははたと相違して。末代惡世の凡
J17_0223B23: 夫の出離生死の道は。早く念佛にありけりと見定
J17_0223B24: て。則念佛に歸して返て選擇を賞翫するあまりに。
J17_0223B25: 續選擇を作りて。年來嫉妬の心をもて是を破せんと
J17_0223B26: たくみし事。大なるとが也と後悔して。選擇集を頂
J17_0223B27: 戴して。大谷の墳墓に參りて。泣なく悔謝をいたす
J17_0223B28: 詞にいはく。今日よりは上人を師として念佛を行ず
J17_0223B29: べし。聖靈照見を垂れて先非をゆるし給へと。其後
J17_0223B30: 遂に高位の崇班をのがれて心圓房と名を付て。一向
J17_0223B31: 專修の行を立て。偈を結て云。
J17_0223B32: 一期所案極。 永捨世道理。
J17_0223B33: 唯稱阿彌陀。 語嘿常持念。
J17_0223B34: と。世の道理を捨といへるは。世人念佛に付て無盡

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