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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0216A01: 皇后元年辛巳大菩薩御誕生の時。八の幡降給へば八幡
J17_0216A02: 大菩薩と號す。今上人御誕生の時。此幡ふれり。彼
J17_0216A03: 夢想思合さるるもの也。抑眞道上人大菩薩の本地を
J17_0216A04: 祈請し給ひし時に。往昔於靈鷲山説妙法華經。今
J17_0216A05: 在正宮中示―現大菩薩と示し給ひしかど。行敎和
J17_0216A06: 尚大菩薩の本地を祈願せし袂のうへには。阿彌陀の
J17_0216A07: 三尊移り給き。垂迹を申せば。昔は雁とあらはれ。
J17_0216A08: 今は鳩と現じ給ふ。雁鳩變じやすし。釋迦彌陀如斯。
J17_0216A09: 娑婆にしては釋尊。安養にしては彌陀。只これ一體
J17_0216A10: 分身更に疑ふ事なかれ。又上人在世の間。諸人の靈
J17_0216A11: 夢これおほし。詮をとりて是をいはば。ある人の夢
J17_0216A12: には上人釋迦如來と見る。或人の夢には上人と眞如
J17_0216A13: 堂の彌陀とは。一體分身也とみる。或人の夢には大
J17_0216A14: 勢至菩薩也と見る。或人のゆめには阿彌陀の右脇に
J17_0216A15: 坐し給へる人也と見る。或人の夢には道綽禪師也と
J17_0216A16: 見る。或人の夢には善導和尚也とみる。或人の夢に
J17_0216A17: は上人大なる赤蓮花に坐して念佛し給ふと見る。或
J17_0216B18: 人の夢には武者洛中に充滿して。鬪諍堅固也といへ
J17_0216B19: ども。上人住房には此事なし。是則念佛するゆへ也
J17_0216B20: と見る。或人の夢には上人住房を見れば。瑠璃をも
J17_0216B21: てつくりて照耀すきとおりて。即瑠璃の橋をわたせ
J17_0216B22: ると見る。凡此夢ども言語の及ぶ所に非ず。此外在
J17_0216B23: 世といひ。滅後といひ。靈夢を感ずる人勝計すべか
J17_0216B24: らずといへども。しげきによりて具には載せず。抑
J17_0216B25: 夢の境をたづぬれば。虚實に通じて二義あり。凡五
J17_0216B26: の因縁ありといへども。いまだ必しも虚無の事に非
J17_0216B27: ず。彼枳里記王の十夢は皆釋尊の遺法を表し。寶海
J17_0216B28: 梵志の一夢はまさしく未來の成佛を示す。いはんや
J17_0216B29: 誠に一乘を行ずれば。夢に八相を唱ふ。先規分明也。
J17_0216B30: いまの義眞實なるべし。何をもてか知るとならば。
J17_0216B31: 諸人の夢たがはずして萬端の瑞を施したまひ。つひ
J17_0216B32: に光明遍照の文を誦して。まさしく往生極樂の願を
J17_0216B33: はたし給へる故也。然則後のち將來見聞道俗の中
J17_0216B34: に。疑者はうたがひをたち。信者は信をまして。上

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