浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0202A01: | ければ重重の問答を致し。存知の旨を記錄して上人 |
J17_0202A02: | に尋申されける狀に。念佛の數返並に本願を信ずる |
J17_0202A03: | 樣。愚案如是候。難者謂なく候へども。若御存知の |
J17_0202A04: | 旨候はば。御自筆をもて書給べく候。別解別學の人 |
J17_0202A05: | にて候はば。耳にも聞入べからず候に。御弟子等の |
J17_0202A06: | 説に候へば。不審をなし候也云云。取詮事長きによりて |
J17_0202A07: | 問答の記錄これを略す。上人の御返事に云。仰の旨 |
J17_0202A08: | 謹て承り候畢。御信をとらしむる樣折紙に具に拜見 |
J17_0202A09: | 候に。一分も愚意の所存に違せず候。ふかく隨喜し |
J17_0202A10: | 奉り候也。近來一念の外數返無益なりと申義出來 |
J17_0202A11: | 候。勿論不足言の事候歟。文釋を離て義を申人。若 |
J17_0202A12: | 既に證を得候か。尤不審に候。附佛法の外道ほかに |
J17_0202A13: | 求むべからず。天魔競來て如此の狂言出來候歟。 |
J17_0202A14: | 猶猶左右に能はず候云云。取詮爰上人配國の後。成覺 |
J17_0202A15: | 坊の弟子善心坊といへる僧。越後國にして專此一念 |
J17_0202A16: | 義を立けるに。光明坊といへるもの不心得事に思 |
J17_0202A17: | て。承元三年夏の比。消息をもて上人に尋申けるに |
J17_0202B18: | 付て。配所にてかかれたる一念義停止の狀に云。當 |
J17_0202B19: | 世念佛門におもむく行人。その中おほく無智誑惑の |
J17_0202B20: | 輩あり。未一宗の廢立をしらず一法の名目に及ば |
J17_0202B21: | ず。心に道心なく身に利養をもとむ。これによりて |
J17_0202B22: | 恣に妄語を構て諸人を迷亂す。偏にこれを渡世の計 |
J17_0202B23: | として。全く來生の罪をかへりみず。かたましく一 |
J17_0202B24: | 念の僞法をひろめて。無行の過を謝し。あまさへ |
J17_0202B25: | 無念の新義を立て。猶一稱の小行を失ふ。微善也と |
J17_0202B26: | いへども。善根におひて跡をけづり。重罪なりとい |
J17_0202B27: | へども。罪障におひていよいよ勢をます。刹那五欲 |
J17_0202B28: | の樂を受んが爲に。永劫三途の業をおそれず。人を |
J17_0202B29: | 敎示しても。彌陀の願をたのむものは五逆を捨る事 |
J17_0202B30: | なし。心に任てこれをつくれ。袈裟を著すべからず。 |
J17_0202B31: | 宜しく直垂をきよ。婬肉を斷べからず。恣に鹿鳥を |
J17_0202B32: | 食べしと云云。弘法大師異生羝羊心を釋して云。ただ |
J17_0202B33: | 婬食を思ふ事。彼羝羊のごとしと云云。彼輩ただ欲に |
J17_0202B34: | ふける事偏に彼類歟。十住心の中の三惡道の心也。 |