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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0202A01: ければ重重の問答を致し。存知の旨を記錄して上人
J17_0202A02: に尋申されける狀に。念佛の數返並に本願を信ずる
J17_0202A03: 樣。愚案如是候。難者謂なく候へども。若御存知の
J17_0202A04: 旨候はば。御自筆をもて書給べく候。別解別學の人
J17_0202A05: にて候はば。耳にも聞入べからず候に。御弟子等の
J17_0202A06: 説に候へば。不審をなし候也云云取詮事長きによりて
J17_0202A07: 問答の記錄これを略す。上人の御返事に云。仰の旨
J17_0202A08: 謹て承り候畢。御信をとらしむる樣折紙に具に拜見
J17_0202A09: 候に。一分も愚意の所存に違せず候。ふかく隨喜し
J17_0202A10: 奉り候也。近來一念の外數返無益なりと申義出來
J17_0202A11: 候。勿論不足言の事候歟。文釋を離て義を申人。若
J17_0202A12: 既に證を得候か。尤不審に候。附佛法の外道ほかに
J17_0202A13: 求むべからず。天魔競來て如此の狂言出來候歟。
J17_0202A14: 猶猶左右に能はず候云云取詮爰上人配國の後。成覺
J17_0202A15: 坊の弟子善心坊といへる僧。越後國にして專此一念
J17_0202A16: 義を立けるに。光明坊といへるもの不心得事に思
J17_0202A17: て。承元三年夏の比。消息をもて上人に尋申けるに
J17_0202B18: 付て。配所にてかかれたる一念義停止の狀に云。當
J17_0202B19: 世念佛門におもむく行人。その中おほく無智誑惑の
J17_0202B20: 輩あり。未一宗の廢立をしらず一法の名目に及ば
J17_0202B21: ず。心に道心なく身に利養をもとむ。これによりて
J17_0202B22: 恣に妄語を構て諸人を迷亂す。偏にこれを渡世の計
J17_0202B23: として。全く來生の罪をかへりみず。かたましく一
J17_0202B24: 念の僞法をひろめて。無行の過を謝し。あまさへ
J17_0202B25: 無念の新義を立て。猶一稱の小行を失ふ。微善也と
J17_0202B26: いへども。善根におひて跡をけづり。重罪なりとい
J17_0202B27: へども。罪障におひていよいよ勢をます。刹那五欲
J17_0202B28: の樂を受んが爲に。永劫三途の業をおそれず。人を
J17_0202B29: 敎示しても。彌陀の願をたのむものは五逆を捨る事
J17_0202B30: なし。心に任てこれをつくれ。袈裟を著すべからず。
J17_0202B31: 宜しく直垂をきよ。婬肉を斷べからず。恣に鹿鳥を
J17_0202B32: 食べしと云云。弘法大師異生羝羊心を釋して云。ただ
J17_0202B33: 婬食を思ふ事。彼羝羊のごとしと云云。彼輩ただ欲に
J17_0202B34: ふける事偏に彼類歟。十住心の中の三惡道の心也。

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