浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0200A01: | しかしながら此事也。かく仰信をいたし。種種にき |
J17_0200A02: | らめき奉りて。溫室をいとなみ。美膳を備へ奉る。 |
J17_0200A03: | 志顯れてぞ侍ける。上人は念佛往生の理端端授た |
J17_0200A04: | まひて。自行化他共に一向念佛なるべしとぞ仰られ |
J17_0200A05: | ければ。遠近の男女老少にいたるまで。傳へきく輩 |
J17_0200A06: | 皆念佛に歸しけり。誠に世澆季に及で。これほどの |
J17_0200A07: | 上人に生れあひ奉て。化導を傳へ承らんだにも有難 |
J17_0200A08: | かるべきに。可然次に親拜見し奉りて。供養をのぶ |
J17_0200A09: | る事宿縁目出度ぞ侍ける。此時上人詠じ給ひける。 |
J17_0200A10: | 極樂もかくやあるらんあらたのし |
J17_0200A11: | はやまいらはや南無阿彌陀佛 |
J17_0200A12: | 善通寺參詣事 |
J17_0200A13: | 讚岐國小松の庄。弘法大師の建立。觀音靈驗の地。 |
J17_0200A14: | 生福寺と申寺に付給ぬ。又同じき國。大師父の御爲 |
J17_0200A15: | に立られたる。其名をかりて善通寺と云。此寺の記 |
J17_0200A16: | 文に。ひとたび詣らん人人は。かならず一佛淨土の |
J17_0200A17: | 友たるべきよし侍りければ。今度の悅これにありと |
J17_0200B18: | て參り給けり。 |
J17_0200B19: | 被遣津戸三郞返狀事 |
J17_0200B20: | 上人流刑の事を。津戸三郞ふかく歎存ける餘り。武 |
J17_0200B21: | 州より讚岐國へ使者を遣しける時。上人の御返事に |
J17_0200B22: | 云。七月十四日の御消息。八月廿一日に見候ぬ。遙 |
J17_0200B23: | のさかひに。かやうに仰られて候御志申盡すべから |
J17_0200B24: | ず候。誠に然べき事にてかやうに候。とかく申ばか |
J17_0200B25: | りなく候。但し今生の事は是に付ても。我も人も思 |
J17_0200B26: | 知べき事に候。いとひてもいとはんと思召べく候。け |
J17_0200B27: | ふあすとも知り候はぬ身に。かかる目を見候。心う |
J17_0200B28: | き事にて候へども。さればこそ穢土のならひにては |
J17_0200B29: | 候へ。只とくとく往生をせばやとこそ思ひ候へ。誰 |
J17_0200B30: | も是を遺恨の事など夢にも不可思召候。然べき |
J17_0200B31: | 身の宿報と申。又穢惡充滿のさかひ。是に初めぬ事 |
J17_0200B32: | にて候へば。何事に付てもただ急急往生をせんと |
J17_0200B33: | 思べき事に候。あなかしこあなかしこ。 |
J17_0200B34: | 八月廿四日 源空判云云 |