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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0199A01: にちかづきて其意をとらかす。念念に思ふ所皆是
J17_0199A02: 妄念也。寄り寄りに營む所。罪業にあらずと云事な
J17_0199A03: し。悲かな渡世の道まちまち成に。いかなる宿習にて
J17_0199A04: か。此わざをなせる。耻哉。世路の計事品品なる
J17_0199A05: に。いかなる前業にてか此業を積や。今生にはかか
J17_0199A06: る罪業に深重の身なりとも。生をあらため得脱す
J17_0199A07: る道あらばたすけ給へと。なくなく申ければ。上人
J17_0199A08: 哀感して曰。述所。誠に罪障かろからず。酬報又は
J17_0199A09: かりがたし。過去の宿業によつて。今生の惡身をえ
J17_0199A10: たり。現在の惡因にこたへて。當來の惡果を感ぜん
J17_0199A11: 事疑なし。若此わざの外に渡世の計略あらば。速に
J17_0199A12: 此惡縁を離べし。たとひよの計略なしといふとも。
J17_0199A13: 身命を顧みざる志あらば。又此業を捨べし。若又餘
J17_0199A14: の計略もなし。身命を捨る志もなくば。ただその身
J17_0199A15: ながら。專念佛すべき也。彌陀如來汝がごときの罪
J17_0199A16: 人の爲に。弘誓をたて給へる其中に。女人往生の願
J17_0199A17: あり。然則女人はこれ本願の正機也。念佛は是往生
J17_0199B18: の正業也。ふかく信心を發すべし。敢て卑下する事
J17_0199B19: なかれ。罪の輕重をいはず。本願を仰で念佛すれば。
J17_0199B20: いかなる柴の扉。苔の莚なれども。所をきらはず臨
J17_0199B21: 終の夕には。彌陀如來無量の聖衆と共に來りて引攝
J17_0199B22: し給が故に。往生うたがひなきよし仰られければ。
J17_0199B23: 遊女歡喜の涙を流し。渴仰の掌を合てかへりける。
J17_0199B24: 後に發心眞實也。信心堅固也。一定の往生かなとお
J17_0199B25: ほせられける。上人歸路の時これをたづねられけれ
J17_0199B26: ば。村人等申云。上人御下向の後。則出家して近き
J17_0199B27: 山里に籠居して。他事なく念佛し侍りしが。いくほ
J17_0199B28: どを經ずして。臨終正念。高聲念佛して往生し侍る
J17_0199B29: よし申ければ。しつらうしつらうとぞ仰られける。
J17_0199B30: 鹽飽地頭饗應事
J17_0199B31: 三月廿六日。讚岐國鹽飽の地頭駿河守高階保遠入道
J17_0199B32: 西忍が館に寄宿し給けり。西忍去夜のゆめに。滿月
J17_0199B33: 輪光明赫奕としてたもとにやどるとみて。不思議の
J17_0199B34: おもひをなす所に。いま上人入御の間。去夜の靈夢

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