浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0194A01: | らじ。此時にあたりて邊鄙の羣類を化せん事。莫大 |
J17_0194A02: | の利益なるべし。但いたむ所は。源空が興ずる淨土 |
J17_0194A03: | の法門は。濁世末代の衆生の決定出離の要道なるが |
J17_0194A04: | 故に守護の天等常隨すらん。我心には遺恨なしと |
J17_0194A05: | いへども。彼天等定て冥瞰をいたさんか。若然ば因 |
J17_0194A06: | 果のむなしからざる事。いきて世に住せば思合らる |
J17_0194A07: | べし。因縁はつきずば。何ぞ又今生の再會なからん |
J17_0194A08: | や。信空上人後に云。先師の詞違はずして其むくひ |
J17_0194A09: | あり。何をもてか知るならば。承久の兵亂に。東夷 |
J17_0194A10: | 上都をかるしめ。時の君は西海の島の中にましまし |
J17_0194A11: | て。多年心をいたましめ。臣は東土の道の傍にして。 |
J17_0194A12: | 一旦に命を失ふ。先言のしるし有り後生ききとるべ |
J17_0194A13: | し。凡念佛停廢の沙汰ある毎に凶厲ならずといふ事 |
J17_0194A14: | なし。人みな是をしれり。覶縷にあたはずと。此事 |
J17_0194A15: | 筆端にのせ難しといへども。前事の忘れざる後事の |
J17_0194A16: | 師なりと云をもての故に。世のため人のため憚なが |
J17_0194A17: | ら是を記す。 |
J17_0194B18: | 月輪殿被命置光親卿事 |
J17_0194B19: | 月輪禪定殿下と申は。忠仁公十一代の後胤。法性寺 |
J17_0194B20: | 殿の御息號後法性寺殿累代の攝錄の跡にましますうへ。朝家 |
J17_0194B21: | の賢政。詩歌の才幹。君是をゆるし給ふに。世これ |
J17_0194B22: | を仰奉る。榮花重職の豪家にあそび給といへども。 |
J17_0194B23: | 順次往生の眞門に御心をかけて。御出家の後は。數 |
J17_0194B24: | 年上人を屈して。淨土の法門を談じ。出離の要道を |
J17_0194B25: | 尋給ふ。上人の頭光をまのあたり拜見し給ひて後 |
J17_0194B26: | は。偏に生身の佛のおもひをなし奉り給ふ。はから |
J17_0194B27: | ざるに勅勘をかうむりて。遙なる西海の波にただよ |
J17_0194B28: | ひ給ふ。官人小松の御房にまいりて。時日をめぐら |
J17_0194B29: | さず。いそぎ配所へおもむきたまふべき旨を責申 |
J17_0194B30: | に。禪定殿下此事を聞食より御歎尤ふかし。其故は |
J17_0194B31: | 去年建永元年三月七日。後京極の攝政殿。俄にさき |
J17_0194B32: | ただせ給ひき。本朝にたえて久しく成にける。曲水 |
J17_0194B33: | の宴とり行給べき御營有て。中御門の御亭今更に玉 |
J17_0194B34: | 鏡をみがき。風流を盡し。詩歌の題とも諸方へつか |