浄土宗全書を検索する
AND検索:複数の検索語をスペースで区切って入力すると、前後2行中にそれらを全て含む箇所を検索します。
巻_頁段行 | 本文 |
---|---|
J17_0191A01: | ひに引れて。惡を作は力およばぬ事にてこそ候へ。 |
J17_0191A02: | 誠に惡をつくる人のやうにしかるべくて。經をもよ |
J17_0191A03: | みたく。餘行のくはへたからん事は力及ばず。但し |
J17_0191A04: | 法華經などをよまん事を。一言なりとも惡造らん事 |
J17_0191A05: | にいひならべて。それもくるしからねば。まして是 |
J17_0191A06: | はなど申説事こそ不便の事にて候へ。ふかき御法も |
J17_0191A07: | あしく心得る人にあひぬれば。返て物ならずきこえ |
J17_0191A08: | 候事こそあさましくおぼへ候へ。ケ樣に申候へば餘 |
J17_0191A09: | 行の人人は。腹立する事にて候に。御心一に心得て |
J17_0191A10: | ひろく知らさせ玉ふまじく候。あらぬさとりの人 |
J17_0191A11: | の。ともかくも申候はむ事をば。耳にもきき入させ |
J17_0191A12: | 給はで。ただ一すぢに善導の御すすめに順がひて。 |
J17_0191A13: | いますこしも一定往生する念佛の數返を申そへんと |
J17_0191A14: | 思召べき事にて候也。たとひ往生の障とこそならず |
J17_0191A15: | とも。不定の業とは聞えて候めれば。一定往生の正 |
J17_0191A16: | 業を修すべき行のいとまを入て。不定の業をくはへ |
J17_0191A17: | ん事は。且は損にて候はずや。よくよく心得させ給 |
J17_0191B18: | ふべきにて候也。但かく申候へば。雜行をくわへん |
J17_0191B19: | 人は永く往生すまじなど申事にては候はず。何樣に |
J17_0191B20: | も餘行の人なりとも。すべて人をくだし。人をそし |
J17_0191B21: | る事はゆゆしき過重く候事にて候也。能能御愼候 |
J17_0191B22: | て。雜行の人なればとてあなづる御心の候まじき |
J17_0191B23: | 也。よかれあしかれ。人の上の善惡を思入れぬがよ |
J17_0191B24: | き事にて候也。又志本より此門に有て信じぬべく候 |
J17_0191B25: | はんをば。拵へ勸させ給べく候。さとりたがひてあ |
J17_0191B26: | らぬ樣ならん人などに。論じ合せ給ふ事は有まじき |
J17_0191B27: | 事にて候。よくよく習知たる聖達だにも。さやうの |
J17_0191B28: | 事をばつつしみておはしましあひて候ぞ。まして殿 |
J17_0191B29: | 原などの御身にて。一定僻事にて候はんずるに候。 |
J17_0191B30: | ただ御身ひとつにまづ能能往生をねがひて念佛を勵 |
J17_0191B31: | 給て。位高き往生を遂て。いそぎ娑婆にかへりて人 |
J17_0191B32: | をばみちびかせ給へ。かやうに委く書付て申候事 |
J17_0191B33: | も。かへすがへす憚おもふ事にて候也。御披露候まじ |
J17_0191B34: | く候。あなかしこあなかしこ。 |