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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0191A01: ひに引れて。惡を作は力およばぬ事にてこそ候へ。
J17_0191A02: 誠に惡をつくる人のやうにしかるべくて。經をもよ
J17_0191A03: みたく。餘行のくはへたからん事は力及ばず。但し
J17_0191A04: 法華經などをよまん事を。一言なりとも惡造らん事
J17_0191A05: にいひならべて。それもくるしからねば。まして是
J17_0191A06: はなど申説事こそ不便の事にて候へ。ふかき御法も
J17_0191A07: あしく心得る人にあひぬれば。返て物ならずきこえ
J17_0191A08: 候事こそあさましくおぼへ候へ。ケ樣に申候へば餘
J17_0191A09: 行の人人は。腹立する事にて候に。御心一に心得て
J17_0191A10: ひろく知らさせ玉ふまじく候。あらぬさとりの人
J17_0191A11: の。ともかくも申候はむ事をば。耳にもきき入させ
J17_0191A12: 給はで。ただ一すぢに善導の御すすめに順がひて。
J17_0191A13: いますこしも一定往生する念佛の數返を申そへんと
J17_0191A14: 思召べき事にて候也。たとひ往生の障とこそならず
J17_0191A15: とも。不定の業とは聞えて候めれば。一定往生の正
J17_0191A16: 業を修すべき行のいとまを入て。不定の業をくはへ
J17_0191A17: ん事は。且は損にて候はずや。よくよく心得させ給
J17_0191B18: ふべきにて候也。但かく申候へば。雜行をくわへん
J17_0191B19: 人は永く往生すまじなど申事にては候はず。何樣に
J17_0191B20: も餘行の人なりとも。すべて人をくだし。人をそし
J17_0191B21: る事はゆゆしき過重く候事にて候也。能能御愼候
J17_0191B22: て。雜行の人なればとてあなづる御心の候まじき
J17_0191B23: 也。よかれあしかれ。人の上の善惡を思入れぬがよ
J17_0191B24: き事にて候也。又志本より此門に有て信じぬべく候
J17_0191B25: はんをば。拵へ勸させ給べく候。さとりたがひてあ
J17_0191B26: らぬ樣ならん人などに。論じ合せ給ふ事は有まじき
J17_0191B27: 事にて候。よくよく習知たる聖達だにも。さやうの
J17_0191B28: 事をばつつしみておはしましあひて候ぞ。まして殿
J17_0191B29: 原などの御身にて。一定僻事にて候はんずるに候。
J17_0191B30: ただ御身ひとつにまづ能能往生をねがひて念佛を勵
J17_0191B31: 給て。位高き往生を遂て。いそぎ娑婆にかへりて人
J17_0191B32: をばみちびかせ給へ。かやうに委く書付て申候事
J17_0191B33: も。かへすがへす憚おもふ事にて候也。御披露候まじ
J17_0191B34: く候。あなかしこあなかしこ。

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