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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0189A01: を信ぜむ人は。兼て臨終をうたがふ心有べからずと
J17_0189A02: こそ覺へ候へ。只當時申さん念佛を。彌に心をいた
J17_0189A03: して申べきにて候。いつかは佛の本願にも臨終の時
J17_0189A04: 念佛申たらん人をのみ迎へんとはたて給ひて候。臨
J17_0189A05: 終の念佛計にて往生すと申事。日來往生をもねがは
J17_0189A06: ず。念佛をも申さずして。偏に罪をのみ作たる惡人
J17_0189A07: の。すでに死なんとする時。初て善知識の勸にあひ
J17_0189A08: て念佛にて往生すとこそ。觀經にも説れて候へ。も
J17_0189A09: とよりの行者の沙汰をば。強にすべき樣は候はぬ
J17_0189A10: 也。佛の來迎一定ならば。臨終の正念も又一定と思
J17_0189A11: 召べき也。此大意をもて能能御心をとどめて心得
J17_0189A12: させ給べく候。又罪をつくりたる人だにも往生す。
J17_0189A13: まして經典うちよみて念佛申さんは。何かくるしか
J17_0189A14: るべきと人人申候らん事は。京邊にもさやうに申人
J17_0189A15: 人おほく候へば。實にさぞ候はん。されば諸宗の心
J17_0189A16: にてこそ候らめ。よしあしを定め申べきに候はず。
J17_0189A17: ひが事と申さば恐れある方おほく候。但淨土宗の
J17_0189B18: 心。善導の釋には往生の行に付て。大きに分て二と
J17_0189B19: す。一には正行。二には雜行也。初に正行と云は。
J17_0189B20: 是にあまたの行あり。初に讀誦正行と云は。無量壽
J17_0189B21: 經・觀經・阿彌陀經等の三部經を讀誦する也。次に
J17_0189B22: 觀察正行と云は。彼國の依正二報のありさまを觀ず
J17_0189B23: る也。次に禮拜正行と云は。阿彌陀佛を禮拜する也。
J17_0189B24: 次に稱名正行と云は。南無阿彌陀佛と唱る也。次に
J17_0189B25: 讚歎供養正行と云は。阿彌陀佛を讚嘆し奉る也。是
J17_0189B26: を五種の正行と名付。讚嘆と供養とを二種の行とす
J17_0189B27: る時は。六種の正行とも申也。此正行に付てふさね
J17_0189B28: て二とす。一には一心に專阿彌陀佛の名號を唱へ奉
J17_0189B29: りて。立居起臥晝夜にわするる事なく。念念にすて
J17_0189B30: ざるを正定の業と名づく。彼佛の本願に順ずるがゆ
J17_0189B31: へと申て。念佛をもて正しく定たる往生の業と立
J17_0189B32: て。若禮誦等によるをば。助業とすと申て。念佛の
J17_0189B33: 外の禮拜や。讀誦やなどをば念佛を助る業と申て候
J17_0189B34: 也。此正定業と助業とを除て。其外の諸の業はみな

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