浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0188A01: | とに是ほどの心だにも具足せずしては。いかが往生 |
J17_0188A02: | 極樂ほどの大事をばとげ給ふべきや。此心は申せば |
J17_0188A03: | 又やすき事にて候也。かやうに心得知らねばとて。 |
J17_0188A04: | 又もと具足せぬ心にては候はぬ也。其名をだにもし |
J17_0188A05: | らぬものも。此心得をば備つべく候。又よくよくし |
J17_0188A06: | りたらん人の中にも。其ままに具せぬも候ぬべき心 |
J17_0188A07: | ばへにて候也。さればこそいふにかひなき人ならぬ |
J17_0188A08: | ものどもの中よりも。唯ひらに念佛申計にて往生し |
J17_0188A09: | たりといふことは。昔より申傳て候也。それらはみ |
J17_0188A10: | な知らねども。三心を具したる人にてありけると心 |
J17_0188A11: | 得らるる事にて候也。又年來念佛申たる人の臨終の |
J17_0188A12: | わろき事の候は。先に申つる樣に。うへ計をかざり |
J17_0188A13: | て。たうとき念佛者など人にいはれんとのみ思て。 |
J17_0188A14: | 下にはふかく本願をも信ぜず。まめやかに往生をも |
J17_0188A15: | ねがはぬ人にてこそは候はんと心得られ候也。され |
J17_0188A16: | ば此三心を具せざるゆへに。臨終もわろく往生もせ |
J17_0188A17: | ぬ也としろしめすべき也。かく申候得共さては往生 |
J17_0188B18: | は大事のことにこそと思召事。ゆめゆめ候まじき |
J17_0188B19: | 也。一定往生すべしと思ひとらぬ心を。やがて深心 |
J17_0188B20: | かけて往生せぬ心とは申候へば。いよいよ一定の往 |
J17_0188B21: | 生とこそ思食べき事にて候へ。まめやかに往生のこ |
J17_0188B22: | ころざしありて。彌陀の本願をうたがはずして。念 |
J17_0188B23: | 佛申さん人は。臨終のわろき事は候まじき也。其故 |
J17_0188B24: | は佛の來迎し給ふ事は。もとより行者の臨終正念の |
J17_0188B25: | 爲にて候也。それを心得ぬ人は。みな我臨終正念に |
J17_0188B26: | て念佛申たらん時。佛は迎給ふべしとのみ心得て候 |
J17_0188B27: | はば。佛の願をも信ぜず。經の文をもこころえぬ人 |
J17_0188B28: | にて候也。稱讚淨土經には。佛慈悲をもて加へたす |
J17_0188B29: | けて。心をしてみだらしめ給はずと説れて候へば。た |
J17_0188B30: | だの時によくよく申をきたる念佛によりて。臨終に |
J17_0188B31: | かならず佛は來迎し給ふべし。佛の來現し給ふを見 |
J17_0188B32: | 奉りて。行者正念に住すと申義にて候也。然るを先の |
J17_0188B33: | 念佛をむなしく思なして。臨終正念をのみ祈る人な |
J17_0188B34: | どの候は。ゆゆしき僻胤にて候也。されば佛の本願 |