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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0188A01: とに是ほどの心だにも具足せずしては。いかが往生
J17_0188A02: 極樂ほどの大事をばとげ給ふべきや。此心は申せば
J17_0188A03: 又やすき事にて候也。かやうに心得知らねばとて。
J17_0188A04: 又もと具足せぬ心にては候はぬ也。其名をだにもし
J17_0188A05: らぬものも。此心得をば備つべく候。又よくよくし
J17_0188A06: りたらん人の中にも。其ままに具せぬも候ぬべき心
J17_0188A07: ばへにて候也。さればこそいふにかひなき人ならぬ
J17_0188A08: ものどもの中よりも。唯ひらに念佛申計にて往生し
J17_0188A09: たりといふことは。昔より申傳て候也。それらはみ
J17_0188A10: な知らねども。三心を具したる人にてありけると心
J17_0188A11: 得らるる事にて候也。又年來念佛申たる人の臨終の
J17_0188A12: わろき事の候は。先に申つる樣に。うへ計をかざり
J17_0188A13: て。たうとき念佛者など人にいはれんとのみ思て。
J17_0188A14: 下にはふかく本願をも信ぜず。まめやかに往生をも
J17_0188A15: ねがはぬ人にてこそは候はんと心得られ候也。され
J17_0188A16: ば此三心を具せざるゆへに。臨終もわろく往生もせ
J17_0188A17: ぬ也としろしめすべき也。かく申候得共さては往生
J17_0188B18: は大事のことにこそと思召事。ゆめゆめ候まじき
J17_0188B19: 也。一定往生すべしと思ひとらぬ心を。やがて深心
J17_0188B20: かけて往生せぬ心とは申候へば。いよいよ一定の往
J17_0188B21: 生とこそ思食べき事にて候へ。まめやかに往生のこ
J17_0188B22: ころざしありて。彌陀の本願をうたがはずして。念
J17_0188B23: 佛申さん人は。臨終のわろき事は候まじき也。其故
J17_0188B24: は佛の來迎し給ふ事は。もとより行者の臨終正念の
J17_0188B25: 爲にて候也。それを心得ぬ人は。みな我臨終正念に
J17_0188B26: て念佛申たらん時。佛は迎給ふべしとのみ心得て候
J17_0188B27: はば。佛の願をも信ぜず。經の文をもこころえぬ人
J17_0188B28: にて候也。稱讚淨土經には。佛慈悲をもて加へたす
J17_0188B29: けて。心をしてみだらしめ給はずと説れて候へば。た
J17_0188B30: だの時によくよく申をきたる念佛によりて。臨終に
J17_0188B31: かならず佛は來迎し給ふべし。佛の來現し給ふを見
J17_0188B32: 奉りて。行者正念に住すと申義にて候也。然るを先の
J17_0188B33: 念佛をむなしく思なして。臨終正念をのみ祈る人な
J17_0188B34: どの候は。ゆゆしき僻胤にて候也。されば佛の本願

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