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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0187A01: を説すすめ給ふ。六方恆沙の諸佛は其説の眞實なる
J17_0187A02: ことを證誠し給へり。此外いづれの佛の。又これら
J17_0187A03: の諸佛にたがひて。凡夫念佛して往生せずとはの給
J17_0187A04: ふべきぞと云ことはりをもて。おほくの佛現じての
J17_0187A05: たまふとも。其に驚て。さては念佛往生は叶まじき
J17_0187A06: 歟と。信心をやぶりて疑心すべからず。況や菩薩た
J17_0187A07: ちのたまはんをや。況や羅漢辟支佛等をやと釋し給
J17_0187A08: て候也。何況。近來の凡夫のいひ妨げんをや。いかに
J17_0187A09: 目出度人申とも。善導和尚にまさりて往生の道を知
J17_0187A10: べからず。善導は又彌陀の化身なり。彼佛我本願を
J17_0187A11: ひろめて。あまねく一切衆生に知しめて。決定して
J17_0187A12: 往生せさせん料に。かりそめに凡夫の人と生れて。
J17_0187A13: 善導和尚といはれ給ふ也。いはば其敎は佛説にてこ
J17_0187A14: そ候へ。垂迹の方にても現身に念佛三昧を得て。ま
J17_0187A15: のあたり淨土の莊嚴を見。ただちに佛のをしへをう
J17_0187A16: け給ひて。の給へる言どもなり。本地を思ふにも。
J17_0187A17: 垂迹を尋るにも。旁以仰で信ずべし。されば誰しも
J17_0187B18: 煩惱のこきうすきをかへりみず。罪障のかろきおも
J17_0187B19: きをも沙汰せず。只口に南無阿彌陀佛と唱ん聲に付
J17_0187B20: て。決定往生の思ひをなすべし。其決定の心をやが
J17_0187B21: て深心とは名付也。所詮。とにもかくにも念佛して
J17_0187B22: 往生すと云事を。深く信じて疑はぬを深心とは名付
J17_0187B23: 候也。三に囘向發願心と云は。我所修の行業を。一
J17_0187B24: 向に極樂に囘向して。往生を願ふ心也。如此三心を
J17_0187B25: 具してかならず往生すべし。この心一もかけぬれば
J17_0187B26: 往生せずと。善導は釋し給へる也。たとひ眞實の心あ
J17_0187B27: りて聲をかざらずとも。佛の本願を疑は。すでに深
J17_0187B28: 心かけたる念佛也。たとひ疑心なくとも。外をかざ
J17_0187B29: り内にまことの心なくば。至誠心かけたる心なるべ
J17_0187B30: し。たとひ此二心を具してかざる心もなく疑心もな
J17_0187B31: く共。極樂に生れんと思ふ心なくば。囘向發願心か
J17_0187B32: けぬべし。三心を心得わかつ時は如此別別の樣な
J17_0187B33: れども。所詮は眞實の心を發て。ふかく本願を信じ
J17_0187B34: て。往生をねがふ心を三心具足の心とは申也。まこ

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