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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0186A01: も内もありのままにてかざる心なきを至誠心と名付
J17_0186A02: 也。二に深心と云は。ふかく信ずる心也。何事をふ
J17_0186A03: かく信ずるぞと云に。先諸の煩惱を具足しおほくの
J17_0186A04: 罪を作て。餘の善根なからん凡夫。阿彌陀佛の大悲
J17_0186A05: 本願を仰て名號を唱る事。若は百年にてもあれ。若
J17_0186A06: は四五十年にてもあれ。乃至一二年にてもあれ。すべ
J17_0186A07: て往生せんと思ひ初たらん時よりして。最後臨終の
J17_0186A08: 時に至るまで懈怠せず。若は七日一日十聲一聲に至
J17_0186A09: るまで。おほくも少も稱名念佛の人。決定して往生
J17_0186A10: すべしと信じて。一念も疑心なきを深心とは申也。
J17_0186A11: 然に往生をねがふ人。本願の名號を持ながら。猶内
J17_0186A12: に妄念の起るを恐れ。外に餘善の少によりても。偏
J17_0186A13: に我身をかろしめて往生を不定に思はば。既に本願
J17_0186A14: を疑也。されば善導和尚は未來の行者の此疑をのこ
J17_0186A15: さん事をかがみて。其疑心を除て決定の心を勸めん
J17_0186A16: が爲に。煩惱を具足し罪業を造り。善根少く智惠な
J17_0186A17: からん凡夫。十聲一聲までも念佛によりて。決定し
J17_0186B18: て往生すべき理をくわしく釋し給へり。たとひおほ
J17_0186B19: くの佛空中に充滿して。光を放て舌を舒。造罪の凡
J17_0186B20: 夫念佛して往生すと云事はひが事也。信ずべからず
J17_0186B21: との給ふとも。其によりて一念も驚き疑べからず。
J17_0186B22: 其故は阿彌陀佛いまだ佛に成給はざりしむかし。若
J17_0186B23: 我佛に成たらん時。十方の衆生。わが名號を唱る事。
J17_0186B24: 上百年より下十聲一聲までにせむに。若我國に生れ
J17_0186B25: ずといはば。我佛にならじと誓ひ給たりしに。其願
J17_0186B26: むなしからずして。佛に成て既に久しく成給へり。
J17_0186B27: 知べし其名號を唱ん人は。必ず往生すべしと云事
J17_0186B28: を。又釋迦佛この娑婆世界に出世して。一切衆生の
J17_0186B29: 爲に。彼彌陀の本願を説て念佛往生をすすめ給へ
J17_0186B30: り。又六方恆沙の諸佛。各廣長の舌を出して。釋迦
J17_0186B31: の念佛して往生すと説給ふは決定也。ふかく信じて
J17_0186B32: すこしも疑心あるべからずと。そこばくの佛達の一
J17_0186B33: 佛ものこらず。一味同心に證誠し給へり。既に彌陀
J17_0186B34: は其願をたて給ふ。釋尊は其願のむなしからざる事

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