浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0186A01: | も内もありのままにてかざる心なきを至誠心と名付 |
J17_0186A02: | 也。二に深心と云は。ふかく信ずる心也。何事をふ |
J17_0186A03: | かく信ずるぞと云に。先諸の煩惱を具足しおほくの |
J17_0186A04: | 罪を作て。餘の善根なからん凡夫。阿彌陀佛の大悲 |
J17_0186A05: | 本願を仰て名號を唱る事。若は百年にてもあれ。若 |
J17_0186A06: | は四五十年にてもあれ。乃至一二年にてもあれ。すべ |
J17_0186A07: | て往生せんと思ひ初たらん時よりして。最後臨終の |
J17_0186A08: | 時に至るまで懈怠せず。若は七日一日十聲一聲に至 |
J17_0186A09: | るまで。おほくも少も稱名念佛の人。決定して往生 |
J17_0186A10: | すべしと信じて。一念も疑心なきを深心とは申也。 |
J17_0186A11: | 然に往生をねがふ人。本願の名號を持ながら。猶内 |
J17_0186A12: | に妄念の起るを恐れ。外に餘善の少によりても。偏 |
J17_0186A13: | に我身をかろしめて往生を不定に思はば。既に本願 |
J17_0186A14: | を疑也。されば善導和尚は未來の行者の此疑をのこ |
J17_0186A15: | さん事をかがみて。其疑心を除て決定の心を勸めん |
J17_0186A16: | が爲に。煩惱を具足し罪業を造り。善根少く智惠な |
J17_0186A17: | からん凡夫。十聲一聲までも念佛によりて。決定し |
J17_0186B18: | て往生すべき理をくわしく釋し給へり。たとひおほ |
J17_0186B19: | くの佛空中に充滿して。光を放て舌を舒。造罪の凡 |
J17_0186B20: | 夫念佛して往生すと云事はひが事也。信ずべからず |
J17_0186B21: | との給ふとも。其によりて一念も驚き疑べからず。 |
J17_0186B22: | 其故は阿彌陀佛いまだ佛に成給はざりしむかし。若 |
J17_0186B23: | 我佛に成たらん時。十方の衆生。わが名號を唱る事。 |
J17_0186B24: | 上百年より下十聲一聲までにせむに。若我國に生れ |
J17_0186B25: | ずといはば。我佛にならじと誓ひ給たりしに。其願 |
J17_0186B26: | むなしからずして。佛に成て既に久しく成給へり。 |
J17_0186B27: | 知べし其名號を唱ん人は。必ず往生すべしと云事 |
J17_0186B28: | を。又釋迦佛この娑婆世界に出世して。一切衆生の |
J17_0186B29: | 爲に。彼彌陀の本願を説て念佛往生をすすめ給へ |
J17_0186B30: | り。又六方恆沙の諸佛。各廣長の舌を出して。釋迦 |
J17_0186B31: | の念佛して往生すと説給ふは決定也。ふかく信じて |
J17_0186B32: | すこしも疑心あるべからずと。そこばくの佛達の一 |
J17_0186B33: | 佛ものこらず。一味同心に證誠し給へり。既に彌陀 |
J17_0186B34: | は其願をたて給ふ。釋尊は其願のむなしからざる事 |