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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0185A01: といへり。業報限あればいかなる病をうくとも。其
J17_0185A02: によりて念佛の信をばさますべからずと。末代の衆
J17_0185A03: 生の不審を除かん爲に。わざと此病を受給へる事疑
J17_0185A04: なし。
J17_0185A05: 明遍參小松殿事
J17_0185A06: 高野の明遍僧都。善光寺參詣の次に。小松殿の坊に
J17_0185A07: 參じて。上人に申云。末代惡世の罪惡の我等。彌陀
J17_0185A08: の名號を稱して淨土に往生すべしと承候に。念佛の
J17_0185A09: 時心の散亂するをばいかがし侍るべきやと。上人
J17_0185A10: 曰。欲界の散地に生をうくる者。心あに散亂せざら
J17_0185A11: んや。其條は源空も不及力。但心は散亂すれども
J17_0185A12: 口に名號を稱すれば。佛の願力に乘じて往生疑な
J17_0185A13: し。詮ずるところ。只念佛の功をつむべき也と。僧
J17_0185A14: 都悅で退出するうしろに。上人の曰。あなことたか
J17_0185A15: の御房や。生付の目鼻を取捨申事や侍ると。
J17_0185A16: 大胡消息事
J17_0185A17: 上野國の御家人。大胡太郞實秀在京の時。上人見參
J17_0185B18: に入て。念佛往生の道をうけ給りて後。國より不審
J17_0185B19: を尋申ける時の御返事。詮をとりてこれをのせば。
J17_0185B20: 三心具足して往生すと申事は。誠に其名目計を打聞
J17_0185B21: 時は。いかなる心を申やらんとことごとしく覺候ぬ
J17_0185B22: べけれ共。善導の御心にては心得やすく候也。習さ
J17_0185B23: たせざらん無智の人や。さとりなからん女人など
J17_0185B24: の。ゑ具足せぬほどの心ばへにては候はぬ也。ただ
J17_0185B25: まめやかに往生せんと思ひて念佛申さん人は。自然
J17_0185B26: に具足しぬべきにて候也。一には至誠心。二には深
J17_0185B27: 心。三には回向發願心也。此三心を具するものは必
J17_0185B28: ず彼國に生ると説れたり。初に至誠心と云は眞實の
J17_0185B29: 心なり。眞實と云は外には賢善精進の相を現じ。内
J17_0185B30: には虚假をいだく事をゑざれと。善導和尚の釋し給
J17_0185B31: へる。此釋の心は内にはをろかにして。外にはかし
J17_0185B32: こき人と思はれんとふるまひ。内には惡を造り外に
J17_0185B33: は善人のよしを示し。内には懈怠の心を懷きて外に
J17_0185B34: は精進の相を現ずるを。眞實ならぬ心とは申也。外

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