浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0183A01: | 給ひけり。 |
J17_0183A02: | 瘧病の事 |
J17_0183A03: | 同年八月。北白川二階房にして。上人瘧病をし出し |
J17_0183A04: | 給て。小松殿へ歸り給ひぬ。門弟等或は念佛を申て |
J17_0183A05: | おとし奉らんといふ人もあり。或は上人へ參りかか |
J17_0183A06: | るほどの物には。我等が力は叶べからずと申人もあ |
J17_0183A07: | り。或は又結縁のためにまいる歟といふ人もあり。 |
J17_0183A08: | 禪定殿下此事を聞し召して。種種に療治を加へらる |
J17_0183A09: | といへども叶はざりければ。禪定殿下われ案を迴ら |
J17_0183A10: | せり。善導の御影を圖繪し奉りて。聖覺を唱導とし |
J17_0183A11: | て上人のまへにて供養をとげ。淨土の法門を稱し。 |
J17_0183A12: | 彌陀の本願を解説せしめん。隨喜の心を發して除病 |
J17_0183A13: | の効驗もありぬべしとて。詫摩法眼證賀に仰て。御 |
J17_0183A14: | 影を圖繪せられ。後京極殿その銘をかかしめ給ふ。 |
J17_0183A15: | 聖覺法印于時僧都の許へ。御導師に參勤すべきよし仰ら |
J17_0183A16: | れければ。聖覺も瘧病を仕侍る。明日は發日にあた |
J17_0183A17: | り侍れども。且は師匠の報恩也。爭か子細を申べき |
J17_0183B18: | や。但早旦に御佛事を初らるべしとて。翌日拂曉に |
J17_0183B19: | 小松殿へ參入して。聖覺も今日おこり日にて候。何 |
J17_0183B20: | 時計におこらせ給ひ候やらんと申ければ。申の時計 |
J17_0183B21: | におこり侍る也と。上人曰。聖覺はまたとく發り候 |
J17_0183B22: | 也。尤いそがるべしとて。巳時の初に説法をはじめ |
J17_0183B23: | て。申の終に結願せられけるに。御導師本願の奧義 |
J17_0183B24: | をのべ。大師釋尊も衆生に同ずる時は。常に病惱を |
J17_0183B25: | うけ。療治を用給き。況や凡夫血肉の身いかでか其 |
J17_0183B26: | 愁なからんや。雖然此道理を知ざる淺智愚鈍の衆 |
J17_0183B27: | 生。定めて疑心をなし不信をいたさんか。善導和尚 |
J17_0183B28: | 諸宗の敎相によらずして。淨土宗を興じて一向專修 |
J17_0183B29: | の行をたて。本願稱名の義をひろめ給事は。末代惡 |
J17_0183B30: | 世の根機に相應して。順次に生死を離るべき要法な |
J17_0183B31: | るが故に。上人これを弘通し給ふに。化導既に佛意 |
J17_0183B32: | に叶て。まのあたり往生を遂るもの千萬なり。然ば |
J17_0183B33: | 諸佛菩薩諸天龍神。いかでか衆生の不信を歎かざら |
J17_0183B34: | ん。四天大王佛法を守護すべくば。必ず我大師上人 |