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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0181A01: の十因。其意又一致也。普賢。觀音の悲願をかんが
J17_0181A02: へ。勝如。敎信が先蹤を引て。念佛の餘行に勝たる
J17_0181A03: 事を證せり。彼時の諸宗の徒。惠學林をなし。禪定
J17_0181A04: 水をたたふ。然といへども惠心をとがめず。永觀を
J17_0181A05: も罰せず。諸敎も滅することなく。念佛も妨なし。
J17_0181A06: 是則世すなほに人うるはしき故也。而に今代澆季に
J17_0181A07: 及び。時鬪諍に屬して。能破所破ともに邪執よりお
J17_0181A08: こり。正論非論みな喧嘩におよび。三毒内にもよほ
J17_0181A09: し。四魔外にあらはるるが所致也。又或人云。念佛
J17_0181A10: もし弘通せられては。諸宗忽に滅盡すべし。爰以遏
J17_0181A11: 妨すと云云。此事不可然。過分の逆類にをいては。
J17_0181A12: 實によりて禁斷せらるべし。全く淨土宗のいたむ所
J17_0181A13: にあらず 末學の邪執にいたりては。上人嚴禁をく
J17_0181A14: わへ。門徒已に服膺す。かれをいひこれをいひ。何
J17_0181A15: ぞ佛法の破滅に及ばんや。凡顯密の修學は名利によ
J17_0181A16: りて研精す。是人間の定まれる法也。淨土の敎法に
J17_0181A17: をいては。名にあらず利にあらず。後世を思ふ人の
J17_0181B18: 外に誰か習學せんや。念佛の弘行によりて餘敎滅盡
J17_0181B19: の條戲言歟。狂説歟。いまだ是非を不辨。若此沙汰
J17_0181B20: 熾盛ならば。念佛の行一時に失墜すべし。因果を辨
J17_0181B21: へ患苦を悲まん人あに傷嗟せざらんや。あに悲涙せ
J17_0181B22: ざらんや。爰に小僧幼年の昔より衰暮のいまに至る
J17_0181B23: まで。自行をろそかなりといへども。本願を馮む心
J17_0181B24: おこたらず罪業をもしといへども往生をねがふに物
J17_0181B25: うからずして。四十餘回の星霜を送る。いよいよも
J17_0181B26: とめ。いよいよすすみて。數百萬返の佛號を唱ふ。
J17_0181B27: 頃年よりこのかた。病せまり命もろくして黄泉近に
J17_0181B28: あり。淨土の敎迹此時にあたりて滅せんとす。是を
J17_0181B29: 見是をききて。爭かたへ爭かしのばん。三尺の秋の
J17_0181B30: 霜。肝をさき。一寸の赤㷔。胷をこがす。天に仰ぎ
J17_0181B31: て嗚咽し。地を叩て愁悶す。何況上人は。小僧にお
J17_0181B32: いて出家の戒師たり。念佛の先達たり。歸敬これふ
J17_0181B33: かし。尊崇尤切也。しかるを罪なくして濫刑をまね
J17_0181B34: き。勤ありて重科に處せば。法の爲に身命を惜むべ

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