浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0181A01: | の十因。其意又一致也。普賢。觀音の悲願をかんが |
J17_0181A02: | へ。勝如。敎信が先蹤を引て。念佛の餘行に勝たる |
J17_0181A03: | 事を證せり。彼時の諸宗の徒。惠學林をなし。禪定 |
J17_0181A04: | 水をたたふ。然といへども惠心をとがめず。永觀を |
J17_0181A05: | も罰せず。諸敎も滅することなく。念佛も妨なし。 |
J17_0181A06: | 是則世すなほに人うるはしき故也。而に今代澆季に |
J17_0181A07: | 及び。時鬪諍に屬して。能破所破ともに邪執よりお |
J17_0181A08: | こり。正論非論みな喧嘩におよび。三毒内にもよほ |
J17_0181A09: | し。四魔外にあらはるるが所致也。又或人云。念佛 |
J17_0181A10: | もし弘通せられては。諸宗忽に滅盡すべし。爰以遏 |
J17_0181A11: | 妨すと云云。此事不可然。過分の逆類にをいては。 |
J17_0181A12: | 實によりて禁斷せらるべし。全く淨土宗のいたむ所 |
J17_0181A13: | にあらず 末學の邪執にいたりては。上人嚴禁をく |
J17_0181A14: | わへ。門徒已に服膺す。かれをいひこれをいひ。何 |
J17_0181A15: | ぞ佛法の破滅に及ばんや。凡顯密の修學は名利によ |
J17_0181A16: | りて研精す。是人間の定まれる法也。淨土の敎法に |
J17_0181A17: | をいては。名にあらず利にあらず。後世を思ふ人の |
J17_0181B18: | 外に誰か習學せんや。念佛の弘行によりて餘敎滅盡 |
J17_0181B19: | の條戲言歟。狂説歟。いまだ是非を不辨。若此沙汰 |
J17_0181B20: | 熾盛ならば。念佛の行一時に失墜すべし。因果を辨 |
J17_0181B21: | へ患苦を悲まん人あに傷嗟せざらんや。あに悲涙せ |
J17_0181B22: | ざらんや。爰に小僧幼年の昔より衰暮のいまに至る |
J17_0181B23: | まで。自行をろそかなりといへども。本願を馮む心 |
J17_0181B24: | おこたらず罪業をもしといへども往生をねがふに物 |
J17_0181B25: | うからずして。四十餘回の星霜を送る。いよいよも |
J17_0181B26: | とめ。いよいよすすみて。數百萬返の佛號を唱ふ。 |
J17_0181B27: | 頃年よりこのかた。病せまり命もろくして黄泉近に |
J17_0181B28: | あり。淨土の敎迹此時にあたりて滅せんとす。是を |
J17_0181B29: | 見是をききて。爭かたへ爭かしのばん。三尺の秋の |
J17_0181B30: | 霜。肝をさき。一寸の赤㷔。胷をこがす。天に仰ぎ |
J17_0181B31: | て嗚咽し。地を叩て愁悶す。何況上人は。小僧にお |
J17_0181B32: | いて出家の戒師たり。念佛の先達たり。歸敬これふ |
J17_0181B33: | かし。尊崇尤切也。しかるを罪なくして濫刑をまね |
J17_0181B34: | き。勤ありて重科に處せば。法の爲に身命を惜むべ |