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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0180A01: 及といへども。一向專修の行人。餘行を停止すべき
J17_0180A02: 由を勸進の條。なを然べからず云云。此條においては
J17_0180A03: 進退相半たり。善導の心此旨を述るに似たり。然て
J17_0180A04: 旨趣甚深也。行者思べし。いま上人の弘通はよく疏
J17_0180A05: の意をさぐりて。すべて紕謬なし。しかるを門弟等
J17_0180A06: の中に奧義をしらず。宗旨をさとらざる類。恣に妄
J17_0180A07: 言をはき。猥に偏執をいたすよし聞えある歟。此事
J17_0180A08: 甚もて不可也とす。上人遮て是をいたむに。小僧い
J17_0180A09: さめて是を禁ず。當時已に數輩の門徒をあつめて。
J17_0180A10: 七箇條の起請をなし。各連署を集めて永く證據にそ
J17_0180A11: なふ。上人もし謗法をこのまば。禁遏豈かくのごと
J17_0180A12: きならんや。事ひろく人おほし。一時に禁止すべか
J17_0180A13: らず。根元既にたちぬ。我執の枝葉むしろ繁茂する
J17_0180A14: 事をゑんや。これをもてこれをいふに。三重の子細
J17_0180A15: 一としても過失なし。衆徒の欝憤何によりてか強盛
J17_0180A16: ならんや。はやく滿山の鼓躁を停止して。來迎の音
J17_0180A17: 樂を庶幾すべきか。抑諸宗成立の法。各自解を專に
J17_0180B18: して餘行をなむともせず。弘行のつねのならひ。先
J17_0180B19: 德の故實也。これを異域にとぶらへば。月氏には即
J17_0180B20: 護法。淸辨の空有の論談。震旦には亦慈恩。妙樂の
J17_0180B21: 權實の立破也。是を我國に尋るに。弘仁の聖代には。
J17_0180B22: 戒律大小のあらそひあり。天曆の御宇には。諸宗淺
J17_0180B23: 深の談あり。八家きほひて定準をなし。三國つたへ
J17_0180B24: て軌範とす。然に末世の邪亂を鑒て。諸宗の對論を
J17_0180B25: とどめられしより以來。宗論ながく跡をけづり。弘
J17_0180B26: 法それが爲に安全たり。就中淨土の一宗にをひて
J17_0180B27: は。古來の行者偏に無染無著の淨心をこらし。專修
J17_0180B28: 念佛の一行につかへて。他宗に對して執論をこのま
J17_0180B29: ず。餘敎に比して是非を判ぜず。獨り出離をねがび
J17_0180B30: て。必ず往生の直道を遂んと也。但弘敎嘆法のなら
J17_0180B31: ひ。敢て又その心なきにあらざるか。所謂源信僧都
J17_0180B32: の往生要集の中に。三重の問答をいだして念佛の勝
J17_0180B33: 業を談ず。念佛の至要此釋に結成せり。禪林の永觀
J17_0180B34: は。德惠心に及ばずといへども。行淨業を續。撰所

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