浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0176A01: | 元久元年十月の頃。山門衆徒の蜂起。大講堂の庭に |
J17_0176A02: | 三塔會合して專修念佛を停止せらるべきよし。天台 |
J17_0176A03: | 座主に訴へ申によりて。座主大僧正より上人に御尋 |
J17_0176A04: | あるに付て。上人起請文を進らる。その詞に云。近 |
J17_0176A05: | 日風聞して云。源空偏に念佛の敎門をすすめて。自 |
J17_0176A06: | 餘の敎法を謗る事。諸宗是によりて陵夷し。諸行是 |
J17_0176A07: | によりて滅亡すと云云。此旨を傳へ承に心神驚怖す。 |
J17_0176A08: | 遂に事山門に聞え。其議衆徒に及て炳誡を可加之 |
J17_0176A09: | 由貫首に申送らる。此條は一には衆勘を恐れ。一に |
J17_0176A10: | は衆恩を喜ぶ。恐るる所は。貧道が身をもて忽に山 |
J17_0176A11: | 洛のいきどほりに及ばん事を。悅ぶ所は謗法の名を |
J17_0176A12: | 消して。永く花夷の謗を止めん事を。若衆徒の糺斷 |
J17_0176A13: | にあらずば。いかでか貧道か愁歎を慰めんや。凡彌 |
J17_0176A14: | 陀の本願に云。唯除五逆誹謗正法と。念佛をすすむ |
J17_0176A15: | る輩。いかでか正法を謗ぜん。又惠心の要集には一 |
J17_0176A16: | 實の道を聞て。普賢の願海に入と。淨土を欣たぐひ。 |
J17_0176A17: | 豈妙法を捨んや。就中源空壯年の昔は。天台の敎釋 |
J17_0176B18: | を披て三觀のとぼそにつらなる。衰老の今は善導の |
J17_0176B19: | 章疏を伺ひて。九品の境にのぞむといへども。舊執 |
J17_0176B20: | なを存す。本心何忘れん。只冥鑒をたのみ。只衆察 |
J17_0176B21: | を仰ぐ。但老門遁世の輩。愚昧出家の類ひ。或は草 |
J17_0176B22: | 房に入て髮をそり。或は松門に臨て志をいふ。次に |
J17_0176B23: | 極樂をもつて所期とすべし。念佛をもて所行とすべ |
J17_0176B24: | きよし時時諷諫す。是則齡衰て自餘の練行に能は |
J17_0176B25: | ず。性鈍にして聖道の研精に堪へざる間。しばらく |
J17_0176B26: | 難解難入の門を閣て。試に易行易往の道を示すな |
J17_0176B27: | り。佛智なを方便をまうけ給ふ。凡愚あに斟酌なか |
J17_0176B28: | らんや。敢て敎の是非を存するにあらず。機の堪否 |
J17_0176B29: | を思也。此條もし法滅の縁たるべくば。向後は宜く |
J17_0176B30: | 停止に從ふべし。此外に僻説をもて弘通し。虚誕を |
J17_0176B31: | もて宣聞せば。尤糺斷あるべし。尤炳誡あるべし。 |
J17_0176B32: | 願所也望む所也。此等の子細は。先年沙汰の時。起 |
J17_0176B33: | 請文を進じ畢ぬ。其後いまに變ぜず。重て陳するに |
J17_0176B34: | 能ずといへども。嚴誡すでに重疊の間。誓文亦再三 |