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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0175A01: つるを。毒皷の縁として後生を助かり。又かの甘糟
J17_0175A02: が菩提をも吊ぶらひ奉らんが爲に。六人ともに發心
J17_0175A03: して修行し侍ける由を申ける時。うきも中なかかた
J17_0175A04: みなりけりとて。最後に甘糟に近きけるを。なつか
J17_0175A05: しき事にしのびて。中陰の間留をきてもろともに孝
J17_0175A06: 養をぞ營ける。戰場にての往生のためし。上人に問
J17_0175A07: 答の次第。瑠璃王の先蹤。如來の敎勅。思ひ合られ
J17_0175A08: 侍り。彌陀の本願は人を嫌はず所を選ばず。ただ念
J17_0175A09: 佛すれば往生疑なき事明か也。我も人も深く本願を
J17_0175A10: 馮み。稱名を專にすべし。
J17_0175A11: 隆寬律師給選擇事
J17_0175A12: 元久元年甲子三月十四日。權律師隆寬。小松殿へ參向
J17_0175A13: の時。上人後戸に出むかひ給て。懷中より一卷の書
J17_0175A14: をとりいだして。律師に授給ふ。其言に云。これ月
J17_0175A15: 輪殿の仰によりてゑらび進ずる所の選擇集也。所載
J17_0175A16: 要文要義は。善導和尚淨土宗をたて給ふ肝心也。早
J17_0175A17: く之を書寫して披見すべし。若不審あらば尋とふべ
J17_0175B18: き也。源空存生の間は祕して他見に及べからず。死
J17_0175B19: 後の流行は何事のあらんやとぞ仰られける。抑かの
J17_0175B20: 律師は。苗裔をたづぬれば。粟田の關白五代の後胤。
J17_0175B21: 少納言資隆の三男。稟承を訪へば。楞嚴の先德七代
J17_0175B22: 正統皇圓阿闍梨の附弟也。慈鎭和尚の御門弟とし
J17_0175B23: て。天台の法燈をかかげ。攝關數代の後胤を受て。
J17_0175B24: 詩歌の家塵をつぐ。朝家の重寶。叡山の領袖にて。
J17_0175B25: 憍慢の心も高く名利の思もふかくこそおはすべかり
J17_0175B26: しに。宿善の催しけるにや。永く穢土をいとひ。偏
J17_0175B27: に淨土を念じて。常に上人に謁し。淨土の法門を尋
J17_0175B28: 申されしに。始はいと打とけ給ざりしかども。往生
J17_0175B29: の志深き由を慇懃に申述給しかば。上人大きに驚
J17_0175B30: て。當時聖道の有識にて。大僧正の御房慈鎭和尚に貴重
J17_0175B31: せられ給ふ御身の。是ほどに思入れ給ひける事。返
J17_0175B32: がえすも忝とて。淨土の法門殘所なく授られき。當世
J17_0175B33: 長樂寺義と號するは彼隆寬律師の流なり。
J17_0175B34: 山門蜂起事

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