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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0171A01: はもての外に廣文を造り候はんずる事にて候へば。
J17_0171A02: 俄にすべき事にも候はず。それは又中中あしき事に
J17_0171A03: ても候ぬべし。ただいと子細は知候はず。是ほどに
J17_0171A04: 聞て申候也と申させ給はんには。心候はん人はさり
J17_0171A05: とも心得候なん。又道心なからん人は。いかに道理
J17_0171A06: を百千萬あかすとも。よも心得候はじ。殿は道理ふ
J17_0171A07: かくして。ひが事おはしまさぬ事にて候と申あひて
J17_0171A08: 候へば。是ほどにきこしめさんに。念佛ひが事にて
J17_0171A09: ありけり。今はな申そと仰られむ事はよも候はじ。
J17_0171A10: さらざらん人は。いかに申とも思とも。無益の事に
J17_0171A11: て候はんずれ。何事も御文には盡し難候。穴賢あなかしこ。
J17_0171A12: 然を翌年四月。信濃の前司行光于時山城民部太夫が奉行として
J17_0171A13: 下されける御敎書云。
J17_0171A14: 津戸郷内に建立念佛所。令居住一向專修輩之由。
J17_0171A15: 所聞食也。彼宗之子細爲有御尋。爲宗之輩一
J17_0171A16: 兩人。早可被召進之狀。依仰執達如件。四月廿
J17_0171A17: 五日。午時散位剌奉津戸三郞殿云云。同狀禮紙云。來
J17_0171B18: 廿八日の申の刻。件の念佛者共をば參ぜさせ可給
J17_0171B19: 之由。御定候也云云。被仰下之旨にまかせて。同
J17_0171B20: 廿八日申の尅。淨勝房。唯願房此二人は上人の門弟也等の念佛者
J17_0171B21: を相倶して。法花堂の前の二棟の御所の南向の廣廂
J17_0171B22: に參て。奉行人行光をもつて。子細を御たづねあり
J17_0171B23: けるに。津戸三郞は。上人の御返事の趣をそらにう
J17_0171B24: かべて。用意したる事なれば。とどこほりなく申入
J17_0171B25: けるに。淨勝房等の念佛者は。年來所學の道なれば。
J17_0171B26: 法藏比丘の因位の願より。彌陀如來の成佛の今にい
J17_0171B27: たるまで。往生の道をくらからず述申ければ。面面
J17_0171B28: に立申旨委く被聞食。拵けるによりて專修の行にお
J17_0171B29: いて子細あるべからず。如元勤可行由被仰出候
J17_0171B30: ける後は。いよいよ念佛の行懈りなかりければ。右
J17_0171B31: 大臣家薨逝の時。彼御骨を二位家より此所に渡し參
J17_0171B32: らせ奉られければ。二心なく偏に彼御菩提をぞ念頃
J17_0171B33: に吊ひける。
J17_0171B34: 尼妙眞往生の事

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