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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0169A01: れ候はんには。なじか委き事をば申させ給べき。げ
J17_0169A02: に人にもいまだくわしく習はせ給はぬ事にて候へ
J17_0169A03: ば。專修雜修の間は。くわしき沙汰候はずとも。召
J17_0169A04: 問れ候はば。法門のくわしき事は知候はず。御上京
J17_0169A05: の時。うけ給りわたりて。聖の許へまかり候て。後
J17_0169A06: 世のこといかがしつべき。在家のものなどの後世助
J17_0169A07: り候ぬべき事は。なに事か候はんと問候しかば。聖
J17_0169A08: の申候しやうは。生死を離るる道はやうやうにおほ
J17_0169A09: く候へども。其中に此比の人の生死をいづる道は。
J17_0169A10: 極樂に往生するより外には。異道は叶ひがたき也。
J17_0169A11: 是佛の衆生をすすめて生死を出させ給ふ一の道也。
J17_0169A12: 然に極樂に往生する行又さまさまにおほく候へど
J17_0169A13: も。其中に念佛して往生するより外には。異行は叶
J17_0169A14: がたき事にてある也。其ゆへは念佛は是彌陀の行一
J17_0169A15: 切衆生のために。自ちかひ給ひたりし本願の行なれ
J17_0169A16: ば。往生の業にとりては。念佛にしく事はなし。さ
J17_0169A17: れば往生せんと思はば。念佛をこそはせめと申候
J17_0169B18: き。何況や。又在家のものの法門をも知らず。智惠
J17_0169B19: もなからんものは。念佛の外には何事をして往生す
J17_0169B20: べしと云事なし。我幼少より法門を習たる物にて有
J17_0169B21: だにも。念佛より外に何事をして往生すべしとも覺
J17_0169B22: ねば。只念佛計をして彌陀の本願をたのみて。往生
J17_0169B23: せんと思ひてある也。まして在家のものなどの何事
J17_0169B24: かあらんと申候しかば。深其よしをたのみ候て。念
J17_0169B25: 佛を仕なりと申させ給ふべし。又是念佛を申事は。
J17_0169B26: ただ我心より彌陀の本願の行なりと悟りて申事にも
J17_0169B27: あらず。唐の世に善導和尚と申候し人の。往生の行
J17_0169B28: 業におひては專修雜修と申二の行をわかちて。すす
J17_0169B29: め給へる也。專修と云は念佛也。雜修と云ふは念佛
J17_0169B30: の外の行也。專修のものは百人は百人ながら往生
J17_0169B31: し。雜修の者は千人が中にわづかに一二人ある也と
J17_0169B32: いへるなり。唐土にまた信中と申もの此旨をしるし
J17_0169B33: て。專修淨業文と云文を造りて。唐土の諸人をすす
J17_0169B34: めたり。其文は淨勝房などの許に候らん。それをも

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