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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0168A01: 一人籠居て申べし。自力にて衣食不叶して申され
J17_0168A02: ずば。他力にて他人に助られて申べし。他人の助に
J17_0168A03: て申されずば。自力にて可申。念佛の第一の助業米
J17_0168A04: に過たるはなし。衣食住の三は念佛の助業也。よく
J17_0168A05: よくたしなむべし。妻を儲くる事。自身助られて念佛
J17_0168A06: 申さん爲也。念佛の妨になりぬべからんには。ゆめ
J17_0168A07: ゆめ持つべからず。從類眷屬も如是。所知所領を儲
J17_0168A08: けん事も。惣じて念佛の助業ならば大切也。妨に成べ
J17_0168A09: くばゆめゆめ持べからず。すべて是をいはば。自身安
J17_0168A10: 穩にて。念佛往生をとげんがためには何事もみな念
J17_0168A11: 佛の助業也。三途にかへるべき事をする身をだにも
J17_0168A12: 難捨ければ。かへりみはぐくむぞかし。まして往生
J17_0168A13: すべき念佛申さん身をば。いかにもいかにも羽含もてな
J17_0168A14: すべき也。かりそめにもいるかせにはすべからず。
J17_0168A15: よくよくいたはるべき也。念佛の助業ならずして。今
J17_0168A16: 生の爲に身を貪求するは。三惡道の業となる。往生極
J17_0168A17: 樂の爲に自身を貪求するは往生の助業となる也とぞ
J17_0168B18: 仰られける。禪勝房。種種の不審ども承ひらきて後。
J17_0168B19: 暇申て。明日は下向すべきよし申たりければ。京つと
J17_0168B20: せんとて。明句を仰られけるは。聖道門の修行は。智
J17_0168B21: 惠をきはめて生死を離れ。淨土門の修行は。愚痴にか
J17_0168B22: へりて極樂に生ると心得べしとぞ。本國にかへりて
J17_0168B23: 偏に上人勸化のむねを信じ。二心なく念佛して。行年
J17_0168B24: 八十五歳。正嘉二年十月四日寅の刻。念佛相續して
J17_0168B25: 種種の靈異を施し。端坐合掌して往生を遂られき。
J17_0168B26: 津戸三郞被召將軍御所事
J17_0168B27: 征夷將軍鎌倉の右大臣實朝公の御時。元久二年秋の
J17_0168B28: 比。津戸三郞爲守。念佛所を建立し一向專修を興行
J17_0168B29: して。餘行をなんどもせざるより將軍家に讒し申族
J17_0168B30: あるに付て。御尋あるべきよし内内其きこえありし
J17_0168B31: かば。かかる珍事にこそあひ候はんずれ。被召尋
J17_0168B32: 時。申上べき次第を難答の言を調べて假名眞名にし
J17_0168B33: るし給べきよし。飛脚を立て上人に申入けるに付
J17_0168B34: て。十月十八日。上人御返事に云。念佛の事召問は

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