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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0166A01: 無量の寶を失べき人也。念佛にいさみある人は。無
J17_0166A02: 邊の悟を開くべき人也。相構て願往生の心にて念佛
J17_0166A03: を相續すべき也。我力にてはおもひよるまじき罪人
J17_0166A04: の念佛するがゆへに。本願に乘じて極樂へ生るを他
J17_0166A05: 力の願とも超世の願とも云也。案内を知ざる人は機
J17_0166A06: をうたがひて往生せざる也。道心者智者などの念佛
J17_0166A07: こそ往生はしたまふらめ。朝暮罪をのみつくりて一
J17_0166A08: 文をだも知ざらんものは。念佛申とても。往生不定
J17_0166A09: とうたがふものは。本願には善惡の機を兼て發し給
J17_0166A10: へりと知らぬ人也。念佛の機は。ただ生れ付のまま
J17_0166A11: にて。申て生るる也。先世の業によりて生れたる身
J17_0166A12: をば。今生の中にはあらためなをさぬ也。女人の男
J17_0166A13: 子とならんと思へども。今生の中には不叶がごと
J17_0166A14: し。只生れ付のままにて念佛をば申也。智者は智者
J17_0166A15: にて申て生れ。愚者は愚者にて申て生れ。道心有人
J17_0166A16: も申て生れ。道心なき人も申て生れ。邪見に生れたる
J17_0166A17: 人も申て生る。富貴のものも。貧賤のものも。欲ふ
J17_0166B18: かきものも。腹あしきものも。慈悲あるものも。慈
J17_0166B19: 悲なきものも。本願の不思議にて念佛だにも申せ
J17_0166B20: ば。みな往生する也。たとへば日の出ぬれば。地の
J17_0166B21: 高低を不嫌。みな照し。月の明なれば。水の淺深を
J17_0166B22: ゑらばず。影を浮が如し。念佛の一願に萬機をおさ
J17_0166B23: めて發し給へる本願也。ただこざかしく機の沙汰を
J17_0166B24: せずして。念佛だにも申ば。皆悉く往生する也。さ
J17_0166B25: ればこそ十方衆生と。手びろく願をば發し給へ。念
J17_0166B26: 佛の人は疾雨の如く極樂には生ると佛は説給へり。
J17_0166B27: もし心をととのへ身を愼て。念佛して生るるなら
J17_0166B28: ば。やは疾雨の如くは生るべき。又かかる願なれば
J17_0166B29: とて。わざとふてかかりて。わろかれとにはあらず。
J17_0166B30: 本願の手びろく不思議にまします樣を申計なり。念
J17_0166B31: 佛往生の義をかたくふかく申さん人をば。つやつや
J17_0166B32: 本願をしらざる人と心得べし。源空が身も。撿挍別
J17_0166B33: 當どもが位にて往生はせんずる。本の法然房にては
J17_0166B34: 得も候はじ。年來習たる智惠は。往生の爲には用に

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