浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0165A01: | べし。但佛の本願は稱名とたてたまへるゆへに。こ |
J17_0165A02: | ゑを出すべき也。經には令聲不絶具足十念と説。釋 |
J17_0165A03: | には稱我名號下至十聲と判じ給へり。我耳にきこゆ |
J17_0165A04: | るほどを高聲念佛とはする也。但譏嫌を知ず。高聲 |
J17_0165A05: | すべきにはあらず。地體はこゑに出さんと思べき |
J17_0165A06: | 也。又一の疑云。餘佛餘經に付て結縁助成せん事は。 |
J17_0165A07: | 雜行と成べく候やらんと申ければ。決定往生の信を |
J17_0165A08: | とりて。佛の本願に乘じてのうへには。他の善根に |
J17_0165A09: | 結縁助成せん事。全く雜行と成べからず。往生の助 |
J17_0165A10: | 業と成べき也。善導の釋の中に。已に他の善根を隨 |
J17_0165A11: | 喜し。自他の善根をもて。淨土に回向すと判じ給へ |
J17_0165A12: | る。此釋をもて可知之とぞ被仰ける。又一の疑 |
J17_0165A13: | 云。自力他力と申事は。何樣にか心得侍るべきと申 |
J17_0165A14: | ければ。源空はいふかひなき邊國の土民也。昇殿すべ |
J17_0165A15: | き器にあらずと云とも。君よりめされしかば二度ま |
J17_0165A16: | で殿上へまいりたりき。是全可參器量にはあらず。 |
J17_0165A17: | 上の御計也。此定に極重惡人。無他方便の凡夫は曾 |
J17_0165B18: | て報身報土の極樂世界へ可參器にはあらねども。 |
J17_0165B19: | 阿彌陀佛の御力なれば。稱名の本願にこたえて來迎 |
J17_0165B20: | にあづからん事。何の不審か可有。我身の罪重無智 |
J17_0165B21: | のものなればいかが往生をとげんと不可疑。左樣 |
J17_0165B22: | にうたがはんものはいまだ佛の願を知ざるもの也。 |
J17_0165B23: | 如是の罪人を渡さんがために發す所の本願也。此 |
J17_0165B24: | 名號を唱へながらゆめゆめうたがふ事あるべから |
J17_0165B25: | ず。十方衆生のぐわんの中に。有智無智。有罪無罪。 |
J17_0165B26: | 善人惡人。持戒破戒。男子女人。乃至三寶滅盡の後 |
J17_0165B27: | に百歳の間の衆生までも。もるる事なし。彼三寳滅 |
J17_0165B28: | 盡の念佛の衆生と。當時の汝等と是をならぶるに。 |
J17_0165B29: | 當世の人は佛のごとく也。彼時の人は命長は十歳 |
J17_0165B30: | 也。戒定惠の三學。其名をだにもきかずといへり。 |
J17_0165B31: | 此等の衆生までも念佛すれば。來迎に預べしと知な |
J17_0165B32: | がら。我身捨らるべしと云事をば。いかが心得いた |
J17_0165B33: | すべきや。但極樂のねがはれず。念佛の申されざら |
J17_0165B34: | ん計は。往生のさはりと成べし。念佛に倦き人は。 |