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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0165A01: べし。但佛の本願は稱名とたてたまへるゆへに。こ
J17_0165A02: ゑを出すべき也。經には令聲不絶具足十念と説。釋
J17_0165A03: には稱我名號下至十聲と判じ給へり。我耳にきこゆ
J17_0165A04: るほどを高聲念佛とはする也。但譏嫌を知ず。高聲
J17_0165A05: すべきにはあらず。地體はこゑに出さんと思べき
J17_0165A06: 也。又一の疑云。餘佛餘經に付て結縁助成せん事は。
J17_0165A07: 雜行と成べく候やらんと申ければ。決定往生の信を
J17_0165A08: とりて。佛の本願に乘じてのうへには。他の善根に
J17_0165A09: 結縁助成せん事。全く雜行と成べからず。往生の助
J17_0165A10: 業と成べき也。善導の釋の中に。已に他の善根を隨
J17_0165A11: 喜し。自他の善根をもて。淨土に回向すと判じ給へ
J17_0165A12: る。此釋をもて可知之とぞ被仰ける。又一の疑
J17_0165A13: 云。自力他力と申事は。何樣にか心得侍るべきと申
J17_0165A14: ければ。源空はいふかひなき邊國の土民也。昇殿すべ
J17_0165A15: き器にあらずと云とも。君よりめされしかば二度ま
J17_0165A16: で殿上へまいりたりき。是全可參器量にはあらず。
J17_0165A17: 上の御計也。此定に極重惡人。無他方便の凡夫は曾
J17_0165B18: て報身報土の極樂世界へ可參器にはあらねども。
J17_0165B19: 阿彌陀佛の御力なれば。稱名の本願にこたえて來迎
J17_0165B20: にあづからん事。何の不審か可有。我身の罪重無智
J17_0165B21: のものなればいかが往生をとげんと不可疑。左樣
J17_0165B22: にうたがはんものはいまだ佛の願を知ざるもの也。
J17_0165B23: 如是の罪人を渡さんがために發す所の本願也。此
J17_0165B24: 名號を唱へながらゆめゆめうたがふ事あるべから
J17_0165B25: ず。十方衆生のぐわんの中に。有智無智。有罪無罪。
J17_0165B26: 善人惡人。持戒破戒。男子女人。乃至三寶滅盡の後
J17_0165B27: に百歳の間の衆生までも。もるる事なし。彼三寳滅
J17_0165B28: 盡の念佛の衆生と。當時の汝等と是をならぶるに。
J17_0165B29: 當世の人は佛のごとく也。彼時の人は命長は十歳
J17_0165B30: 也。戒定惠の三學。其名をだにもきかずといへり。
J17_0165B31: 此等の衆生までも念佛すれば。來迎に預べしと知な
J17_0165B32: がら。我身捨らるべしと云事をば。いかが心得いた
J17_0165B33: すべきや。但極樂のねがはれず。念佛の申されざら
J17_0165B34: ん計は。往生のさはりと成べし。念佛に倦き人は。

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