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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0164A01: 樂。欲生我國。乃至十念。若不生者。不取正覺とい
J17_0164A02: へる本願の文の中には。平生の機あり。臨終の機あ
J17_0164A03: り。乃至は平生の機。十念は臨終の機なり。平生の
J17_0164A04: 機は乃至十年申て生れ。乃至一年申て生れ。乃至一
J17_0164A05: 月申て生れ。乃至一日申て生れ。乃至一時申てむま
J17_0164A06: る。是皆壽命の長短。發心の遲速に由る也。これら
J17_0164A07: はみな一たび發心して後。淨土まで申べき尋常の機
J17_0164A08: なり。臨終の機といへるは。病せまり命一念十念につ
J17_0164A09: づまりて後。知識の敎によりて。初て本願にあへる
J17_0164A10: 機也。臨終のために發し給へる一念十念を平生に引
J17_0164A11: 上て。一念十念にも生れば。念佛はゆるけれども。
J17_0164A12: 往生不定には思べからずと申人は。ゆゆしきあやま
J17_0164A13: り也。念念不捨者。是名正定之業。順彼佛願故の釋
J17_0164A14: は。本願の中の乃至の機の。上盡一形に數返を勵み
J17_0164A15: て。本願に相應すべき道理を釋しあらはし給へる
J17_0164A16: 事。一念に往生たりぬと信じて。念佛懈怠ならん人
J17_0164A17: は。信をもて行をさまたげたる也。又數返の功德つ
J17_0164B18: みてこそ生るなれ。一念十念に生すべからずといへ
J17_0164B19: る人は。行をもて信を妨くる人也。然則信をば一念
J17_0164B20: に生ると信じて。行をば一形に勵むべしとぞ仰られ
J17_0164B21: ける。又一の疑に云。持戒のものの念佛の數返を少
J17_0164B22: 候と。破戒のものの念佛の數返多く候と。往生の後。
J17_0164B23: 位の淺深いかが候べきと申ければ。所居の疊を指て
J17_0164B24: 曰。疊の有に付て破れたると。不破との論也。全く
J17_0164B25: 疊なくば如何ぞ破たると破ざるとの論やあらん。そ
J17_0164B26: の樣に末法の中には持戒もなく。破戒もなし。只名
J17_0164B27: 字の比丘のみ有り。傳敎大師の末法燈明記に。くは
J17_0164B28: しく此旨をあかし給へる。其上に。持戒破戒のさた
J17_0164B29: あるべからず。如此凡夫のために發す所の本願也。
J17_0164B30: いそぎてもいそぎても名號を稱べしとぞ仰られける。又一
J17_0164B31: のうたがひに云。念佛の行者毎日の所作にこゑをた
J17_0164B32: てたる人もあり。又心に念じて數をとる人もあり。
J17_0164B33: 何を本とすべく候らんと申ければ。口に唱へ心に念
J17_0164B34: ずる同名號なれば。いづれもいづれも皆往生の業となる

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