浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0163A01: | にせめられて。六道四生を輪回して生死を離べきや |
J17_0163A02: | うなきに阿彌陀佛の。われに歸し我をたのまば。煩惱 |
J17_0163A03: | の敵をうちてえさせんと御誓あれば。佛をたのみ奉 |
J17_0163A04: | は至誠心也。名號を唱ておこたりなく。佛に宮仕へ |
J17_0163A05: | 奉るは深心也。最後臨終に來迎にあづかりて生死を |
J17_0163A06: | 離るるは回向心也。三心具足する計やすき事はなし |
J17_0163A07: | と。人には敎へよとぞ仰られける。又一のうたがひ |
J17_0163A08: | に云。三心具すべき次第を。ケ樣に習まいらせ侍ぬ |
J17_0163A09: | れば。是の身には三心は具し侍べし。在家の人三心 |
J17_0163A10: | の文も知らず習ひ候はで。只念佛ばかり申侍らん |
J17_0163A11: | は。此三心は具すまじく侍やらんと。上人曰。三心 |
J17_0163A12: | と云は。一向專修の念佛者に成るみちをおしへたる |
J17_0163A13: | 也。無智の罪人なりとも。一向專修の念佛者に成ぬ |
J17_0163A14: | れば。皆ことごとく三心を具足して。往生せん事は |
J17_0163A15: | 決定也。故にならひ知りて一向專修になる人もあ |
J17_0163A16: | り。三心と云名だにも知ざれども。一向專修の念佛 |
J17_0163A17: | 者に成人もあり。一向の佛の願をたのみ奉るは至誠 |
J17_0163B18: | 心也。ふかく信じて名號を唱て。念念相續して。畢 |
J17_0163B19: | 命を期として退轉なきは深心也。往生を願ふは回向 |
J17_0163B20: | 發願心也。たとへば手づつなる者の。手ききのしたる |
J17_0163B21: | 物を得たるが如し。衆生は手づつにて。萬の功德を |
J17_0163B22: | 造らざれども阿彌陀佛。萬の功德を造りあつめて。 |
J17_0163B23: | 名號におさめて。衆生にあたへ給へる也。又人の子 |
J17_0163B24: | は幼れども。親の慈悲をもて。萬のたからを儲て子 |
J17_0163B25: | に讓るがごとし。三心の敎文おほけれども。如此 |
J17_0163B26: | 心得るとぞ仰られける。又一の疑には。本願の一念 |
J17_0163B27: | は平生の機。臨終の機に通ずべくやらんと申けれ |
J17_0163B28: | ば。上人曰。一念の願は命つづまりて。二念には及 |
J17_0163B29: | ばざる機の爲也。上盡一形を釋し。念念不捨者共是 |
J17_0163B30: | 名正定業共判給へる。是則平生の機なり。本願にあ |
J17_0163B31: | ふ遲速の不同あれば。上盡一形下至十聲と發し給へ |
J17_0163B32: | る也。必ず一念を佛の本願と云ふべからず。一念十 |
J17_0163B33: | 念の本願なれば。強にはげまずとも有なんと云人の |
J17_0163B34: | 有は大なるあやまり也。設我得佛。十方衆生。至心信 |