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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0163A01: にせめられて。六道四生を輪回して生死を離べきや
J17_0163A02: うなきに阿彌陀佛の。われに歸し我をたのまば。煩惱
J17_0163A03: の敵をうちてえさせんと御誓あれば。佛をたのみ奉
J17_0163A04: は至誠心也。名號を唱ておこたりなく。佛に宮仕へ
J17_0163A05: 奉るは深心也。最後臨終に來迎にあづかりて生死を
J17_0163A06: 離るるは回向心也。三心具足する計やすき事はなし
J17_0163A07: と。人には敎へよとぞ仰られける。又一のうたがひ
J17_0163A08: に云。三心具すべき次第を。ケ樣に習まいらせ侍ぬ
J17_0163A09: れば。是の身には三心は具し侍べし。在家の人三心
J17_0163A10: の文も知らず習ひ候はで。只念佛ばかり申侍らん
J17_0163A11: は。此三心は具すまじく侍やらんと。上人曰。三心
J17_0163A12: と云は。一向專修の念佛者に成るみちをおしへたる
J17_0163A13: 也。無智の罪人なりとも。一向專修の念佛者に成ぬ
J17_0163A14: れば。皆ことごとく三心を具足して。往生せん事は
J17_0163A15: 決定也。故にならひ知りて一向專修になる人もあ
J17_0163A16: り。三心と云名だにも知ざれども。一向專修の念佛
J17_0163A17: 者に成人もあり。一向の佛の願をたのみ奉るは至誠
J17_0163B18: 心也。ふかく信じて名號を唱て。念念相續して。畢
J17_0163B19: 命を期として退轉なきは深心也。往生を願ふは回向
J17_0163B20: 發願心也。たとへば手づつなる者の。手ききのしたる
J17_0163B21: 物を得たるが如し。衆生は手づつにて。萬の功德を
J17_0163B22: 造らざれども阿彌陀佛。萬の功德を造りあつめて。
J17_0163B23: 名號におさめて。衆生にあたへ給へる也。又人の子
J17_0163B24: は幼れども。親の慈悲をもて。萬のたからを儲て子
J17_0163B25: に讓るがごとし。三心の敎文おほけれども。如此
J17_0163B26: 心得るとぞ仰られける。又一の疑には。本願の一念
J17_0163B27: は平生の機。臨終の機に通ずべくやらんと申けれ
J17_0163B28: ば。上人曰。一念の願は命つづまりて。二念には及
J17_0163B29: ばざる機の爲也。上盡一形を釋し。念念不捨者共是
J17_0163B30: 名正定業共判給へる。是則平生の機なり。本願にあ
J17_0163B31: ふ遲速の不同あれば。上盡一形下至十聲と發し給へ
J17_0163B32: る也。必ず一念を佛の本願と云ふべからず。一念十
J17_0163B33: 念の本願なれば。強にはげまずとも有なんと云人の
J17_0163B34: 有は大なるあやまり也。設我得佛。十方衆生。至心信

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