浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0162A01: | 念佛すべきなり。一に至誠心と云は阿彌陀佛をたの |
J17_0162A02: | み奉る心なり。二に深心と云は常に名號を唱て往生 |
J17_0162A03: | をうたがはぬなり。三に囘向發願心と云は。往生して |
J17_0162A04: | 衆生を利益せんと思ふ心也。譬を以ていはば。人有 |
J17_0162A05: | て一の太刀をもちたらんに。此太刀は御身の造り給 |
J17_0162A06: | へるかと人とはば。我は手づつにて何事もせぬもの |
J17_0162A07: | にて候。人のたまひて候也と答へば。人もまいらせ |
J17_0162A08: | たれば。わどのの爲には財かと又とへば。さ候と答 |
J17_0162A09: | ふ。太刀をまうくるは至誠心也。此太刀は大事の物 |
J17_0162A10: | なり。あだにせじと思は深心也。さてわれにももち |
J17_0162A11: | 物をきらんは。囘向發願心也。しかのごとく本願に |
J17_0162A12: | あふは至誠心也。名號をもちて常に唱て。餘行の人 |
J17_0162A13: | にいひやぶられざるは深心也。往生せんと思ふは囘 |
J17_0162A14: | 向心也。又女人に三心を心得ん時は。御前の袋を一 |
J17_0162A15: | つまうけてましまさんに。あけて見れば萬の財を入 |
J17_0162A16: | たり。袋をまうくるは至誠心なり。此袋には大事の |
J17_0162A17: | 物を入たり。あだにせじとおもふは深心也。中にあ |
J17_0162B18: | るものをとりいだして要事につかふは囘向心也。し |
J17_0162B19: | かのごとく。本願にあふは袋を儲たるがごとし。此 |
J17_0162B20: | 名號の中には。阿彌陀佛の初發心より乃至佛になら |
J17_0162B21: | せ給て。六度萬行一切の功德を造あつめて。名號に |
J17_0162B22: | 納めて。衆生に與へ給へる名號なれば。おろそかに |
J17_0162B23: | せじとて。別解別行の人にもいひやぶられずして。南 |
J17_0162B24: | 無阿彌陀佛と唱るは。不思議の本願なるによりて。か |
J17_0162B25: | かる罪人どもの淨土へ迎へられ。生死を離れずらん |
J17_0162B26: | と思ひかためて。もし手はふさがらば數はとらずと |
J17_0162B27: | も。命終らんまで。口の常に唱るを深心と云也。又 |
J17_0162B28: | のやうはたとへば人の敵をもちたらんに。敵はつは |
J17_0162B29: | ものなるを。我はよはくしてうつに及ばざらんに。 |
J17_0162B30: | 我敵にまさりたる兵もの。われをたのまばうちてと |
J17_0162B31: | らせんといはんに。悅でたのむで宮仕をせばやくそ |
J17_0162B32: | くをたがへず。敵を討也。討ものをたのむは至誠心 |
J17_0162B33: | 也。宮仕へするは深心也。敵を討は囘向發願心也。し |
J17_0162B34: | かのごとく我等衆生は。無始より已來惡業煩惱の敵 |