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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0162A01: 念佛すべきなり。一に至誠心と云は阿彌陀佛をたの
J17_0162A02: み奉る心なり。二に深心と云は常に名號を唱て往生
J17_0162A03: をうたがはぬなり。三に囘向發願心と云は。往生して
J17_0162A04: 衆生を利益せんと思ふ心也。譬を以ていはば。人有
J17_0162A05: て一の太刀をもちたらんに。此太刀は御身の造り給
J17_0162A06: へるかと人とはば。我は手づつにて何事もせぬもの
J17_0162A07: にて候。人のたまひて候也と答へば。人もまいらせ
J17_0162A08: たれば。わどのの爲には財かと又とへば。さ候と答
J17_0162A09: ふ。太刀をまうくるは至誠心也。此太刀は大事の物
J17_0162A10: なり。あだにせじと思は深心也。さてわれにももち
J17_0162A11: 物をきらんは。囘向發願心也。しかのごとく本願に
J17_0162A12: あふは至誠心也。名號をもちて常に唱て。餘行の人
J17_0162A13: にいひやぶられざるは深心也。往生せんと思ふは囘
J17_0162A14: 向心也。又女人に三心を心得ん時は。御前の袋を一
J17_0162A15: つまうけてましまさんに。あけて見れば萬の財を入
J17_0162A16: たり。袋をまうくるは至誠心なり。此袋には大事の
J17_0162A17: 物を入たり。あだにせじとおもふは深心也。中にあ
J17_0162B18: るものをとりいだして要事につかふは囘向心也。し
J17_0162B19: かのごとく。本願にあふは袋を儲たるがごとし。此
J17_0162B20: 名號の中には。阿彌陀佛の初發心より乃至佛になら
J17_0162B21: せ給て。六度萬行一切の功德を造あつめて。名號に
J17_0162B22: 納めて。衆生に與へ給へる名號なれば。おろそかに
J17_0162B23: せじとて。別解別行の人にもいひやぶられずして。南
J17_0162B24: 無阿彌陀佛と唱るは。不思議の本願なるによりて。か
J17_0162B25: かる罪人どもの淨土へ迎へられ。生死を離れずらん
J17_0162B26: と思ひかためて。もし手はふさがらば數はとらずと
J17_0162B27: も。命終らんまで。口の常に唱るを深心と云也。又
J17_0162B28: のやうはたとへば人の敵をもちたらんに。敵はつは
J17_0162B29: ものなるを。我はよはくしてうつに及ばざらんに。
J17_0162B30: 我敵にまさりたる兵もの。われをたのまばうちてと
J17_0162B31: らせんといはんに。悅でたのむで宮仕をせばやくそ
J17_0162B32: くをたがへず。敵を討也。討ものをたのむは至誠心
J17_0162B33: 也。宮仕へするは深心也。敵を討は囘向發願心也。し
J17_0162B34: かのごとく我等衆生は。無始より已來惡業煩惱の敵

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