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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0157A01: の感應を喜び。渴仰の頭を傾ける。傳聞諸人をとら
J17_0157A02: じと念佛をつとめける。楞嚴院解脱谷の南光坊阿闍
J17_0157A03: 梨靜朝と云ひしもの。此念佛を勤修せざる間。或時
J17_0157A04: のゆめに。社頭へまいりてみやめぐりしけるに。先
J17_0157A05: 大宮へまいりてそれより聖眞子の社へまいりぬ。寳
J17_0157A06: 前の庭を見れば。鏡のごとく内外明にして。瑠璃の
J17_0157A07: 大地のごとし。是を見るに誠に心もいさぎよく身も
J17_0157A08: 涼しき心地也。法施奉て後。氣比聖母の方へ過ゆか
J17_0157A09: んとするに。神殿より高さ三尺計の金色の貴僧出ま
J17_0157A10: しまして。此前を行過る事叶べからず。罷歸れと仰
J17_0157A11: らるる間。諸人皆通過候めり。靜朝にかぎりて歸し
J17_0157A12: 候はん事は。歎入候よしを申に。彼行過諸人は皆聖
J17_0157A13: 眞子の不斷念佛をつとめたるもの也。汝はいまだか
J17_0157A14: の念佛に結縁せず。早く罷かへれと示さるると見て
J17_0157A15: 夢さめぬ。軈て懺悔を致し。殊に信心を深くして。
J17_0157A16: 在生の間懈怠なく念佛を勤き。勢多の尼と云ひしも
J17_0157A17: の。賀茂の社にまいりたりけるに。神供を備へける
J17_0157B18: を見て。此神はことに何をかは好み侍らん。尋て參
J17_0157B19: らせばやと。氏人に申ければ。とりわき何ものを御
J17_0157B20: 好と云ふ事なし。只志によるべしと返答す。此尼其
J17_0157B21: 夜のゆめに。賀茂の大明神。わがこのむものは念佛
J17_0157B22: 也。好物をたむくべくば。念佛を申べしと示し給ひ
J17_0157B23: ければ。よき聲の念佛者をあつめて。社頭にして七
J17_0157B24: 日の間。勇猛精進の念佛を勤修して法樂せり。中比
J17_0157B25: 往生をいのるもの二人侍りき。八幡へ參て祈請しけ
J17_0157B26: る樣。二人意巧異也。一人は念佛申て往生すべくば。
J17_0157B27: 念佛の法門にとりていかなる甚深の義を學して往生
J17_0157B28: すべく候ぞ示し給へと祈。一人は念佛の外になを入
J17_0157B29: たちて。甚深の法門を學して往生すべく候はん。然
J17_0157B30: ばいかなる法門にて候。これを示し給へと祈りけ
J17_0157B31: り。七日滿ずる夜二人同ふしたる夢の中に。
J17_0157B32: あらはやな又もあらはやをしゆへき
J17_0157B33: 南無と唱ふることの外には
J17_0157B34: と。二人ともに此告を蒙て。夢覺て後是を語らんと

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