浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0154A01: | 蒙て。即上洛して上人に參りて。淨土の法門を學し。 |
J17_0154A02: | 念佛往生の道を承定て後は。本國に還て稱名の外他 |
J17_0154A03: | 事なし。本より孤獨の身なれば同行もなし。知識も |
J17_0154A04: | なし。病をうけざればくるしみもなし。療治の煩な |
J17_0154A05: | し。往生の期至ければ。道場に入て西にむかひて。 |
J17_0154A06: | 自鐘をならし。高聲念佛數尅。端坐合掌して往生を |
J17_0154A07: | 遂き。紫雲に驚き異香に付て。諸人集來縁をむすぶ。 |
J17_0154A08: | 希代の不思議。國中の口遊にてぞありける。抑熊野 |
J17_0154A09: | 山證誠殿權現は本地阿彌陀如來也。神明と顯て無福 |
J17_0154A10: | の衆生に福をあたへんとちかひ給へるも。せめての |
J17_0154A11: | じひの餘に。貪欲至盛にして。偏に今生の榮耀にほ |
J17_0154A12: | だされながら。後生の苦患を忘れたる衆生の。人身 |
J17_0154A13: | をうけたるしるしもなく。此たび本願にもれて尚惡 |
J17_0154A14: | 道にかへるべき輩を救はんが爲の濟度の方便なれ |
J17_0154A15: | ば。當山に參て後世菩提を祈る人は。流にさほさす |
J17_0154A16: | がごとし。本願の正意に相叶ひ。加樣に一人として |
J17_0154A17: | も順次に生死を出ざるはなし。されば當山に九品の |
J17_0154B18: | 鳥居を立られたるは。九品引接の御本意を顯さるる |
J17_0154B19: | 所也。然ば當山參詣の人は。内には本地の悲願をた |
J17_0154B20: | のみ。外には垂跡の擁護をあふぎて。只偏に順次の |
J17_0154B21: | 往生の志を先とすべき也。凡は當山にも不限。神明 |
J17_0154B22: | の利生。和光の方便は。何も皆本地寂光の都より入 |
J17_0154B23: | 重玄門の里に出て。罪惡の凡夫に近づき。無漏の淨 |
J17_0154B24: | 刹に導給はんがため也。其中に天照大神は本朝諸神 |
J17_0154B25: | の父母也。生るをば生氣といひて。五十日をいみ。 |
J17_0154B26: | 死をば死氣といひて。又五十日をいむ。死は生より |
J17_0154B27: | 來る。生は死の初なるゆへに。死生ともに同日數を |
J17_0154B28: | 忌るるは。流轉生死の有漏の里を厭すてて。不生不 |
J17_0154B29: | 滅の無漏の都に尋入と也。本迹雖異不思議一なれ |
J17_0154B30: | ば。生死解脱の本意かける事なし。されは漢家には |
J17_0154B31: | 佛法をひろめんが爲に。儒童・迦葉・定光三人の菩 |
J17_0154B32: | 薩・孔子・老子・顏回と生て。先外典を以て人の心 |
J17_0154B33: | をやはらげ。後に佛法を流布せしかば。人皆是を信 |
J17_0154B34: | じき。我朝には和光明神。先跡を垂て。人のあらき |