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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0154A01: 蒙て。即上洛して上人に參りて。淨土の法門を學し。
J17_0154A02: 念佛往生の道を承定て後は。本國に還て稱名の外他
J17_0154A03: 事なし。本より孤獨の身なれば同行もなし。知識も
J17_0154A04: なし。病をうけざればくるしみもなし。療治の煩な
J17_0154A05: し。往生の期至ければ。道場に入て西にむかひて。
J17_0154A06: 自鐘をならし。高聲念佛數尅。端坐合掌して往生を
J17_0154A07: 遂き。紫雲に驚き異香に付て。諸人集來縁をむすぶ。
J17_0154A08: 希代の不思議。國中の口遊にてぞありける。抑熊野
J17_0154A09: 山證誠殿權現は本地阿彌陀如來也。神明と顯て無福
J17_0154A10: の衆生に福をあたへんとちかひ給へるも。せめての
J17_0154A11: じひの餘に。貪欲至盛にして。偏に今生の榮耀にほ
J17_0154A12: だされながら。後生の苦患を忘れたる衆生の。人身
J17_0154A13: をうけたるしるしもなく。此たび本願にもれて尚惡
J17_0154A14: 道にかへるべき輩を救はんが爲の濟度の方便なれ
J17_0154A15: ば。當山に參て後世菩提を祈る人は。流にさほさす
J17_0154A16: がごとし。本願の正意に相叶ひ。加樣に一人として
J17_0154A17: も順次に生死を出ざるはなし。されば當山に九品の
J17_0154B18: 鳥居を立られたるは。九品引接の御本意を顯さるる
J17_0154B19: 所也。然ば當山參詣の人は。内には本地の悲願をた
J17_0154B20: のみ。外には垂跡の擁護をあふぎて。只偏に順次の
J17_0154B21: 往生の志を先とすべき也。凡は當山にも不限。神明
J17_0154B22: の利生。和光の方便は。何も皆本地寂光の都より入
J17_0154B23: 重玄門の里に出て。罪惡の凡夫に近づき。無漏の淨
J17_0154B24: 刹に導給はんがため也。其中に天照大神は本朝諸神
J17_0154B25: の父母也。生るをば生氣といひて。五十日をいみ。
J17_0154B26: 死をば死氣といひて。又五十日をいむ。死は生より
J17_0154B27: 來る。生は死の初なるゆへに。死生ともに同日數を
J17_0154B28: 忌るるは。流轉生死の有漏の里を厭すてて。不生不
J17_0154B29: 滅の無漏の都に尋入と也。本迹雖異不思議一なれ
J17_0154B30: ば。生死解脱の本意かける事なし。されは漢家には
J17_0154B31: 佛法をひろめんが爲に。儒童・迦葉・定光三人の菩
J17_0154B32: 薩・孔子・老子・顏回と生て。先外典を以て人の心
J17_0154B33: をやはらげ。後に佛法を流布せしかば。人皆是を信
J17_0154B34: じき。我朝には和光明神。先跡を垂て。人のあらき

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