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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0153A01: 願力によらずば。千劫萬劫恆沙劫を經ても。速に女
J17_0153A02: 身を轉ずることを得べからずとも釋し給へり。此度
J17_0153A03: 彌陀の本願にすがりて極樂にまいらずしては。無量
J17_0153A04: 劫にも女人をば轉ずべからず。無始より以來女人の
J17_0153A05: 身をうけたりき。今より後なを六道四生に輪迴せん
J17_0153A06: 間も。形をかへ質をあらたむといふこと有とも。な
J17_0153A07: を女身をうけ。一切心にまかせざらんは悲かるべき
J17_0153A08: 事也。況女身を改ざるのみにも非ず。三途八難の底
J17_0153A09: に沈て重苦をうけん事。後悔すとも誰かこれをすく
J17_0153A10: はん。今幸に彌陀の本願にあひ奉て。名號を唱る計
J17_0153A11: の行によりて。最後臨終に男子の身となされ參らせ
J17_0153A12: て。彌陀如來の御迎にあづかり。觀音。大勢至の金
J17_0153A13: 蓮に乘じ。無數化佛。無量の聖衆に圍繞せられ奉て。
J17_0153A14: 須臾の間に無漏の報土に往生する時。三惑頓につき。
J17_0153A15: 二死永く除き。長夜ここにあけ。覺月正に圓なり。
J17_0153A16: 四智圓明の春の花には。三十二相の色あざやかにひ
J17_0153A17: らけ。三身即一の秋の空には。八十種好の月淸くす
J17_0153B18: めり。位は妙覺高貴の位。四海灌頂の法王也。形は
J17_0153B19: 佛果圓滿の形。三點法性の聖容にして。無邊の快樂
J17_0153B20: にほこらん事は。豈悅にあらずや。努努念佛に物う
J17_0153B21: かるべからず。惡道に墮て萬の苦をうけんよりは。
J17_0153B22: やすき念佛を申て樂を得べきものなりとて。本願の
J17_0153B23: 貴くたのもしき次第をかきくどきのたまひければ。
J17_0153B24: 其座に侍ける女房ども皆泪をながして。念佛の門に
J17_0153B25: 入りにけり。是を傳きかん女人。寧念佛にいさみな
J17_0153B26: からんや。
J17_0153B27: 作佛房往生の事
J17_0153B28: 遠江國に作佛房といへる山臥侍りき。役行者の跡を
J17_0153B29: おひ。山林斗藪の行を立て。大峯を經歷すること數
J17_0153B30: ケ度。惣じて熊野參詣の步をはこぶ事四十八度也。
J17_0153B31: 偏に後生の事を祈て。曾て現世の望なし。證誠殿に
J17_0153B32: 通夜して年來いのる所は。只是後世菩提也。早出離
J17_0153B33: の道を示し給へと祈請しけるに。當時京都に法然房
J17_0153B34: と云ふ聖あり。行て出離の道をたづぬべしと示現を

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