浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0153A01: | 願力によらずば。千劫萬劫恆沙劫を經ても。速に女 |
J17_0153A02: | 身を轉ずることを得べからずとも釋し給へり。此度 |
J17_0153A03: | 彌陀の本願にすがりて極樂にまいらずしては。無量 |
J17_0153A04: | 劫にも女人をば轉ずべからず。無始より以來女人の |
J17_0153A05: | 身をうけたりき。今より後なを六道四生に輪迴せん |
J17_0153A06: | 間も。形をかへ質をあらたむといふこと有とも。な |
J17_0153A07: | を女身をうけ。一切心にまかせざらんは悲かるべき |
J17_0153A08: | 事也。況女身を改ざるのみにも非ず。三途八難の底 |
J17_0153A09: | に沈て重苦をうけん事。後悔すとも誰かこれをすく |
J17_0153A10: | はん。今幸に彌陀の本願にあひ奉て。名號を唱る計 |
J17_0153A11: | の行によりて。最後臨終に男子の身となされ參らせ |
J17_0153A12: | て。彌陀如來の御迎にあづかり。觀音。大勢至の金 |
J17_0153A13: | 蓮に乘じ。無數化佛。無量の聖衆に圍繞せられ奉て。 |
J17_0153A14: | 須臾の間に無漏の報土に往生する時。三惑頓につき。 |
J17_0153A15: | 二死永く除き。長夜ここにあけ。覺月正に圓なり。 |
J17_0153A16: | 四智圓明の春の花には。三十二相の色あざやかにひ |
J17_0153A17: | らけ。三身即一の秋の空には。八十種好の月淸くす |
J17_0153B18: | めり。位は妙覺高貴の位。四海灌頂の法王也。形は |
J17_0153B19: | 佛果圓滿の形。三點法性の聖容にして。無邊の快樂 |
J17_0153B20: | にほこらん事は。豈悅にあらずや。努努念佛に物う |
J17_0153B21: | かるべからず。惡道に墮て萬の苦をうけんよりは。 |
J17_0153B22: | やすき念佛を申て樂を得べきものなりとて。本願の |
J17_0153B23: | 貴くたのもしき次第をかきくどきのたまひければ。 |
J17_0153B24: | 其座に侍ける女房ども皆泪をながして。念佛の門に |
J17_0153B25: | 入りにけり。是を傳きかん女人。寧念佛にいさみな |
J17_0153B26: | からんや。 |
J17_0153B27: | 作佛房往生の事 |
J17_0153B28: | 遠江國に作佛房といへる山臥侍りき。役行者の跡を |
J17_0153B29: | おひ。山林斗藪の行を立て。大峯を經歷すること數 |
J17_0153B30: | ケ度。惣じて熊野參詣の步をはこぶ事四十八度也。 |
J17_0153B31: | 偏に後生の事を祈て。曾て現世の望なし。證誠殿に |
J17_0153B32: | 通夜して年來いのる所は。只是後世菩提也。早出離 |
J17_0153B33: | の道を示し給へと祈請しけるに。當時京都に法然房 |
J17_0153B34: | と云ふ聖あり。行て出離の道をたづぬべしと示現を |