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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0151A01: 財を奪を業として。人に過たる罪人なれば。先業の
J17_0151A02: 修因。又惡のきはまりなる事暗にしられたりける罪
J17_0151A03: 人なれども。本願の念佛に歸しぬれば往生に障なし。
J17_0151A04: 況其餘の人をや。またく罪の輕重をいふべからず。
J17_0151A05: 只念佛を申べきなり。
J17_0151A06: 女人往生願事
J17_0151A07: 或時宮仕人かとおぼしくて。尋常なる尼女房達あま
J17_0151A08: た友なひて。上人へ參りて。罪ふかき我等ごときの
J17_0151A09: 五障の女人も念佛を申せば。極樂に往生すべきよし
J17_0151A10: 仰の候なるは。誠にて侍るやらん。明にうけ給りた
J17_0151A11: きよし申ければ。仰られけるは。彌陀の大願をたの
J17_0151A12: むより外は。女人更に往生の望を遂べからず。大願
J17_0151A13: の忝事をよくよくきかるべし。女人は障重く罪深が
J17_0151A14: 故。一切の所にはみな嫌れたり。是則内に五障あり。
J17_0151A15: 外に三從あるがゆへ也。五障と云へるは。一には梵
J17_0151A16: 天王とならず。二には帝釋とならず。三には魔王と
J17_0151A17: ならず。四には轉輪王とならず。五には佛身となら
J17_0151B18: ずといへり。既に大梵高臺の閣にもきらはれて。梵
J17_0151B19: 衆。梵輔の雲をのぞむ事なく。帝釋柔軟の床にもく
J17_0151B20: だされて。三十三天の花をもてあそぶ事なし。六天
J17_0151B21: 魔王の位。四種輪王の跡。望たえて。影をささざれ
J17_0151B22: ば。天上天下のいやしき果報。無常生滅の拙き身に
J17_0151B23: だにもならず。況諸佛の淨土をもひよるべからず。
J17_0151B24: 日本國にだにも。貴くやごとなき靈地靈驗の砌には。
J17_0151B25: 毎毎くきらはれたり。所謂比叡山は傳敎大師の建
J17_0151B26: 立。桓武天王の御願なり。大師自結界して。谷をさ
J17_0151B27: かひ峰を限て。女人の形を入られざれば。一乘の峰
J17_0151B28: たかく顯て。五障の雲たなびく事なく。藥師醫王の
J17_0151B29: 靈像は。耳にききて目には見ず。大師結界の靈地は。
J17_0151B30: 遠く見てちかくのぞまず。高野山は弘法大師結界の
J17_0151B31: 峯。眞言上乘繁昌の地也。三密の月輪遍く照といへ
J17_0151B32: ども。女人非器のやみをば不照。五瓶の智水ひとし
J17_0151B33: く流と云へども。女人垢穢のあかをば灌がず。聖武
J17_0151B34: 天王の御願。十六丈金銅の舍那のまへには。遙にこ

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