浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0150A01: | 世間さまに付ては。聊不實の事も有しかども。知識 |
J17_0150A02: | にあひて發心して。往生せんと思ふ心深く成ぬれば。 |
J17_0150A03: | 念念相續もせんと思ひて。いかなる所。いかなる人 |
J17_0150A04: | のまへにても。無想にひた申に申さんもの。是又眞 |
J17_0150A05: | 實の念佛なれば。決定往生すべき也。全く制の限に |
J17_0150A06: | あらず。今云所は三心の中に一心も闕ぬれば。往生 |
J17_0150A07: | せずと釋し給へるに。三心の中の眞實。人毎に發し |
J17_0150A08: | 難ければ。其眞實心を發べき樣を云ばかり也。され |
J17_0150A09: | ばとて只の時念佛な申そとは。いかが勸むべきと。 |
J17_0150A10: | また敎阿彌陀佛申て云。さきに仰の侍つる故に。夜 |
J17_0150A11: | 念佛申さんには必ず起居侍べきか。又念珠袈裟をと |
J17_0150A12: | り侍べきかと。上人曰。念佛の行は行住坐臥をきら |
J17_0150A13: | はぬ事なれば。ふして申さんとも。居て申さんとも。 |
J17_0150A14: | 心にまかせ時によるべし。念珠をとり。けさをかく |
J17_0150A15: | る事も。又折によりて心に隨べし。只所詮威儀はい |
J17_0150A16: | かにもあれ。此度構て往生せんと思ひて。實しく念 |
J17_0150A17: | 佛申さんのみぞ大切なると仰られければ。敎阿彌陀 |
J17_0150B18: | 佛。歡喜踊躍して。合掌禮拜して罷出にけり。翌日 |
J17_0150B19: | に法蓮房信空のもとへ行て。敎阿彌陀佛こそ坂東の |
J17_0150B20: | 方へ修行し侍れ。昨日上人授させ給へる決定往生の |
J17_0150B21: | 義とて申出して。今度の往生はすこしも疑なきよし |
J17_0150B22: | 悅申て。その翌日東國へ下向しぬ。其後。上人御前 |
J17_0150B23: | にて。信空上人此事を申出して。さる事の侍けるや |
J17_0150B24: | らんと申されければ。其事也。さるふるき盜人と聞 |
J17_0150B25: | 置たりし間。對機説法して侍りき。一定心得たりけ |
J17_0150B26: | るにこそ見へしかとぞ仰られける。敎阿彌陀佛は。 |
J17_0150B27: | 坂東にくだりて。幾ほどもなくて所勞つきて。最後 |
J17_0150B28: | の時。同行に語言。わが往生は決定也。是則上人の |
J17_0150B29: | 仰のすへを信じて。往生の故實を存知したる故也。往 |
J17_0150B30: | 生の樣必上人へ申せと遺言して。正念に住し。念佛 |
J17_0150B31: | 數十遍唱ておはりにけり。遺言に任せて。やがて。 |
J17_0150B32: | 同行京へ上て。往生の樣をくわしく上人に申ければ。 |
J17_0150B33: | よく心得たりと見へしが。相違せざりけりとて仰ら |
J17_0150B34: | れけるは。今生には大惡黨の張本として。人を殺し |