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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0150A01: 世間さまに付ては。聊不實の事も有しかども。知識
J17_0150A02: にあひて發心して。往生せんと思ふ心深く成ぬれば。
J17_0150A03: 念念相續もせんと思ひて。いかなる所。いかなる人
J17_0150A04: のまへにても。無想にひた申に申さんもの。是又眞
J17_0150A05: 實の念佛なれば。決定往生すべき也。全く制の限に
J17_0150A06: あらず。今云所は三心の中に一心も闕ぬれば。往生
J17_0150A07: せずと釋し給へるに。三心の中の眞實。人毎に發し
J17_0150A08: 難ければ。其眞實心を發べき樣を云ばかり也。され
J17_0150A09: ばとて只の時念佛な申そとは。いかが勸むべきと。
J17_0150A10: また敎阿彌陀佛申て云。さきに仰の侍つる故に。夜
J17_0150A11: 念佛申さんには必ず起居侍べきか。又念珠袈裟をと
J17_0150A12: り侍べきかと。上人曰。念佛の行は行住坐臥をきら
J17_0150A13: はぬ事なれば。ふして申さんとも。居て申さんとも。
J17_0150A14: 心にまかせ時によるべし。念珠をとり。けさをかく
J17_0150A15: る事も。又折によりて心に隨べし。只所詮威儀はい
J17_0150A16: かにもあれ。此度構て往生せんと思ひて。實しく念
J17_0150A17: 佛申さんのみぞ大切なると仰られければ。敎阿彌陀
J17_0150B18: 佛。歡喜踊躍して。合掌禮拜して罷出にけり。翌日
J17_0150B19: に法蓮房信空のもとへ行て。敎阿彌陀佛こそ坂東の
J17_0150B20: 方へ修行し侍れ。昨日上人授させ給へる決定往生の
J17_0150B21: 義とて申出して。今度の往生はすこしも疑なきよし
J17_0150B22: 悅申て。その翌日東國へ下向しぬ。其後。上人御前
J17_0150B23: にて。信空上人此事を申出して。さる事の侍けるや
J17_0150B24: らんと申されければ。其事也。さるふるき盜人と聞
J17_0150B25: 置たりし間。對機説法して侍りき。一定心得たりけ
J17_0150B26: るにこそ見へしかとぞ仰られける。敎阿彌陀佛は。
J17_0150B27: 坂東にくだりて。幾ほどもなくて所勞つきて。最後
J17_0150B28: の時。同行に語言。わが往生は決定也。是則上人の
J17_0150B29: 仰のすへを信じて。往生の故實を存知したる故也。往
J17_0150B30: 生の樣必上人へ申せと遺言して。正念に住し。念佛
J17_0150B31: 數十遍唱ておはりにけり。遺言に任せて。やがて。
J17_0150B32: 同行京へ上て。往生の樣をくわしく上人に申ければ。
J17_0150B33: よく心得たりと見へしが。相違せざりけりとて仰ら
J17_0150B34: れけるは。今生には大惡黨の張本として。人を殺し

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