浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0149A01: | 暮にても。人のきくひまなからん所にて。常に如此 |
J17_0149A02: | 申べし。所詮決定往生を欣。眞の念佛申さんずるか |
J17_0149A03: | ざらぬ心根は。たとへば盜人有て。人の財を思かけ |
J17_0149A04: | てぬすまんと思ふ心は底に深けれども。面はさりげ |
J17_0149A05: | なき樣にもてなして。構てあやしげなる色を。人に |
J17_0149A06: | 見えじと思はんがごとし。其ぬすむ心は人全くしら |
J17_0149A07: | ねば。すこしもかざらぬ心也。決定往生せんずる心 |
J17_0149A08: | も又如此。人多くあつまり居たる中にても。念佛申 |
J17_0149A09: | 色を人に見せずして。心に忘るまじきなり。其時の |
J17_0149A10: | 念佛は佛ならでは。誰か是を知べき。佛しらせたま |
J17_0149A11: | はば。往生なんぞ疑はんと仰られければ。敎阿彌陀佛 |
J17_0149A12: | 申言。決定往生の法門こそ心得候ぬれ。既に悟りき |
J17_0149A13: | はめ侍り。今聊の不審も侍らず。此仰を承ざらまし |
J17_0149A14: | かば。此度の往生はあやふく候なまし。但此仰のご |
J17_0149A15: | とくにては。人の前にて念珠をくり。口をはたらか |
J17_0149A16: | す事は。有まじくや候らんと。上人曰。其又僻胤な |
J17_0149A17: | り。念佛者の本意は常念を詮とす。されば念念相續 |
J17_0149B18: | せよとこそ勸られたれ。たとへば世間の人を見る |
J17_0149B19: | に。同人なれども豪臆あひわかれて。臆病の人に成 |
J17_0149B20: | ぬれば。身のためくるしかるまじき聊のいかりをも。 |
J17_0149B21: | おぢをそれて。にげ歸る。豪の者に成ぬれば。命を |
J17_0149B22: | 失ふべきこはきてきの。しかも迯かくれなば。助る |
J17_0149B23: | べきなれども。すこしも恐れず。一しざりもせざる |
J17_0149B24: | がごとし。是が樣に眞僞の二類あり。地體いつはり |
J17_0149B25: | 性にしてかざる心あるものは。身の爲に要なき聊の |
J17_0149B26: | 事をも。必ずいつはりかざる也。もとより眞の心あ |
J17_0149B27: | りて虚言せぬものは。聊の矯餝して。身の爲に大き |
J17_0149B28: | に其益あるべき事なれども。身の利益をばかへりみ |
J17_0149B29: | ず。底に眞ありて少もかざる心なし。これ皆本性に |
J17_0149B30: | うけて生れたる所也。その實の心のものの往生せん |
J17_0149B31: | とおもひて。念佛に歸したらんには。いかなる所。 |
J17_0149B32: | いかなる人のまへにて申とも。すこしもかざる心あ |
J17_0149B33: | るまじければ。是眞實心の念佛にして。決定往生す |
J17_0149B34: | べき也。何ぞ是をいましめん。又地體は僞性にして。 |