浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0148A01: | 淺間しく無縁のものにて侍る間。在京もなど叶がた |
J17_0148A02: | く侍れば。相模國河村と申所に。相知たる者の侍る |
J17_0148A03: | 賴てまかり侍べし。今は歳も罷よりて侍れば。又見 |
J17_0148A04: | 參に入べしとも覺え侍らず。本より無智の者にて侍 |
J17_0148A05: | れば。甚深の法門を承て候とも。其甲斐あるべしと |
J17_0148A06: | も覺候はず。只詮を取て決定往生仕べき樣の御一言 |
J17_0148A07: | を蒙らんと申ければ。上人の曰。先念佛には甚深の |
J17_0148A08: | 義といふことなし。念佛申者はかならず往生すと知 |
J17_0148A09: | 計也。いかなる智者學生といふとも。宗にあらざら |
J17_0148A10: | ん甚深の義をば。爭造出していふべきや。甚深の義 |
J17_0148A11: | あらんと云事。ゆめゆめ疑思ふべからず。但念佛は |
J17_0148A12: | 易き行なれば。申人は多けれども。往生する者すく |
J17_0148A13: | なきは。決定往生の故實をしらぬ故也。去月に又人 |
J17_0148A14: | もなくして。御房と源空と只二人有しに。夜半計に |
J17_0148A15: | 忍やかに起居て念佛せしをば。御房はきかれしなと |
J17_0148A16: | 仰られければ。寢耳にさやらんと承候きと申ければ。 |
J17_0148A17: | 其こそ軈て決定往生の念佛よ。虚假とてかざる心に |
J17_0148B18: | て申念佛は往生せぬ也。決定往生せんと思ふには。 |
J17_0148B19: | かざる心なくして誠の心にて申べし。いふにかひな |
J17_0148B20: | きおさなきもの。もしは畜生などに向ては。かざる |
J17_0148B21: | 心はなけれども。朋同行はいふにおよばず。常にな |
J17_0148B22: | れたる妻子眷屬なれは共。東西を辨る程の者になり |
J17_0148B23: | ぬれば。其が爲にかならずかざる心は起る也。人の |
J17_0148B24: | 中にすまんには其心なき凡夫はあるべからず。すべ |
J17_0148B25: | て親も疎も貴も賤も。人に過たる往生の怨はなし。 |
J17_0148B26: | それが爲にかざる心を發して。順次の往生を遂ざれ |
J17_0148B27: | ばなり。さりとて獨居も不叶。いかがして人目をか |
J17_0148B28: | ざる心なくして。誠の心にて念佛も申べきと云ふ。 |
J17_0148B29: | 常に人にまじはりてしづまる心もなく。かざる心も |
J17_0148B30: | あらん者は。夜さしふけて見る人もなく。聞人もな |
J17_0148B31: | からん時。忍やかに起居て。百遍にても千遍にても。 |
J17_0148B32: | 多少心にまかせて申さん念佛のみぞ。かざる心もな |
J17_0148B33: | ければ。佛意に相應して決定往生はとぐべき。此心 |
J17_0148B34: | を得なば。必しも夜にも限らず。朝にても晝にても |