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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0132A01: 機の拙く。道心なきほどもあらはれぬれ。かかる愚
J17_0132A02: なる身ながら。南無阿彌陀佛と唱る所に。佛の願行
J17_0132A03: 悉く圓滿するゆゑに。ここが白木の念佛の忝にては
J17_0132A04: ある也。機におひては安心も起行も。眞すぐなく。
J17_0132A05: 前念も後念も皆おろか也。忘想顚倒の惑は。日を逐
J17_0132A06: てふかく。寐も寤も。惡業煩惱にのみ。ほだされて
J17_0132A07: 居たる身のうちより出る念佛は。いと煩惱にかわる
J17_0132A08: べしとも覺ぬうへ。定散の色どり一もなき稱名なれ
J17_0132A09: ども。前念の名號に。諸佛の實を接するゆへに。心
J17_0132A10: 水泥濁にそまず。無上功德を生する也。中中に心を
J17_0132A11: そへず申せば。生ると信じてほれぼれと南無阿彌陀
J17_0132A12: 佛と唱が。本願の念佛にてはある也。これを白木の
J17_0132A13: 念佛とは云なりとぞ仰られける。當世も自力根性の
J17_0132A14: 人は。念佛に付て。いろいろの彩色を加へ餘行を指
J17_0132A15: 南とする人またこれあるが。是併上人弘通の正義を
J17_0132A16: しらざるゆへ也。善惠上人は本師上人の勸化をつ
J17_0132A17: ぎ。化導年ふりて。行年七十にして。寶治元年十一
J17_0132B18: 月廿六日午剋。種種の奇瑞をあらはして。端坐合掌
J17_0132B19: 念佛二百餘遍を唱て。往生をせられき。當世西山門
J17_0132B20: と號し。小坂義と稱するは。彼善惠上人流也。
J17_0132B21: 月輪殿御不審事
J17_0132B22: 或時月輪殿より。條條の御不審を御書にのせて。上
J17_0132B23: 人にたづね仰られければ。委請文にのせて申されけ
J17_0132B24: り。所謂一の御疑云。一度信心を起て。更に疑心な
J17_0132B25: くば。一念十念をもて。決定往生の業として。其後
J17_0132B26: 稱名稱念せずといふとも。順次の往生更に不審ある
J17_0132B27: べからざるか。又信心決定の後は。四重五逆等の罪
J17_0132B28: を犯といふとも。往生の障と成べからざるかと。上
J17_0132B29: 人の請文に云。たとひ決定往生の信心を起すといふ
J17_0132B30: も。其後。又稱名する事なく。ならびに小罪なりと
J17_0132B31: も。是を犯して後懺悔せずば、敢て往生を遂がたく
J17_0132B32: 候歟。何況。四重五逆等の重罪を犯候はんにおゐて
J17_0132B33: は。往生するに不及。還て惡趣をのがれがたく候。
J17_0132B34: 近來諸宗の衆徒。都鄙の道俗喧嘩たえず候旨。この

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