浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0131A01: | 轉敎口稱して。汝若不能念者。應稱無量壽佛と云時。 |
J17_0131A02: | 意業忙然と成ながら。十聲。佛を稱すれば。聲聲に |
J17_0131A03: | 八十億劫の罪を滅して。見金蓮花猶如日輪の益にあ |
J17_0131A04: | づかる也。此義には機の道心一もなく。定散のいろ |
J17_0131A05: | どり一もなし。只知識の敎に隨ふ計にて。別のさか |
J17_0131A06: | しき心もなくて。白木に唱て。往生する也。たとへ |
J17_0131A07: | ば。をさなきものの手をとりて。物をかかせんがご |
J17_0131A08: | とし。豈小兒の高名ならんや。下下品の念佛も。又 |
J17_0131A09: | かくのごとし。只知識と彌陀との御心にて。纔に口に |
J17_0131A10: | 唱て往生を遂也。彌陀の本願はわきて五逆深重の人 |
J17_0131A11: | の爲に難行苦行せし願なるゆへに。失念の位の白木 |
J17_0131A12: | の念佛に佛の五劫兆載の願行つづまりて。無窮の生 |
J17_0131A13: | 死を一念につづめて。僧祇の苦行を一聲に成ずる也。 |
J17_0131A14: | 又大經の三寶滅盡の時の念佛も。白木の念佛也。其 |
J17_0131A15: | 故に大小乘の經律論。みな龍宮におさまる。三寶悉 |
J17_0131A16: | く滅しなん。閻浮提にはただ冥冥たる衆生の。惡の |
J17_0131A17: | 外には善と名だにも。更にあるべからず。戒行を敎 |
J17_0131B18: | たる律も滅しなば。何の處によりて。止惡修善の心 |
J17_0131B19: | もあるべき。菩提心を説ける經卷。先立て滅せば。 |
J17_0131B20: | いづれの經によりてか菩提心をも發べき。此理を知 |
J17_0131B21: | れる人も世になければ。習て知べき道もなし。故に |
J17_0131B22: | 定散の色どりは。皆失はてたる白木の念佛。六字の |
J17_0131B23: | 名號ばかり。世には住すべき也。其時。聞て一聲せ |
J17_0131B24: | んもの。皆當に往生すべしと説けり。此機の一念十 |
J17_0131B25: | 念して往生は。佛法の外なる人の。只白木の名號の |
J17_0131B26: | 力にて往生すべき也。然に當時は大小の經論も盛な |
J17_0131B27: | れば。彼時の衆生には事の外にまれなる機也と。い |
J17_0131B28: | ふ人もあれども。下根の我等は。三寶滅盡の時の人 |
J17_0131B29: | にかはる事なし。世はなほ佛法流布の世なれども。 |
J17_0131B30: | 身はひとり三學無分の機也。大小の經論あれども。 |
J17_0131B31: | 或は學せんとおもふものもなし。かかる無道心の機 |
J17_0131B32: | は。佛法にあえるかひもなき身也。三寶滅盡の世な |
J17_0131B33: | らば。力及ばぬ方もあるべし。佛法流布の世に生れ |
J17_0131B34: | ながら。戒をも持たず。定惠をも修行せざるにこそ。 |