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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0128A01: にて候也。念佛は。もとより行住坐臥。時所諸縁を
J17_0128A02: ゑらばず。身口の不淨をきらはぬ行にて候へば。易
J17_0128A03: 行往生と申傳へて候也。只淨土を心にかくれば。心
J17_0128A04: 淨の行にて候也。但其中にも。身心を淸くして申を。
J17_0128A05: 第一の行と申候也。又娑婆世界の人の。餘の淨土を
J17_0128A06: 欣候はん事は。弓なくして天の鳥をとり。足なくし
J17_0128A07: て木ずへの花をおらんとせんが如し。必ず專修念佛
J17_0128A08: は。現當の祈となり候也。これも經文にて候也云云。」
J17_0128A09: 又後年に。津戸三郞がもとへつかはされたる上人の
J17_0128A10: 御返事に。專修念佛の人は。世にあり難き事にて候。
J17_0128A11: 其一國に三十餘人まで候はんこそ。まめやかにあは
J17_0128A12: れに候へ。京邊なんどの常にききならひ傍をも見な
J17_0128A13: らひ候ぬべき所にて候だに。今にも思ひ切て。專修
J17_0128A14: 念佛する人は。難有事にてこそ候に。道綽禪師の並
J17_0128A15: 州と申所こそ一向念佛の地にて候に。專修念佛三十
J17_0128A16: 餘人は世に難有覺候。偏に御力。又熊谷入道などの
J17_0128A17: 計にこそ候なれ。それも時の至りて往生すべき人の
J17_0128B18: 多く候べきゆへにこそ候なれ。縁なき事はわざと人
J17_0128B19: のすすめ候にだにも。かなはぬ事にて候へば。まして
J17_0128B20: 子細もしらせ給はぬ人などの。仰られんによるべき
J17_0128B21: 事にても候はぬに。本より機縁純熟して。時いたり
J17_0128B22: たる事にて候へばこそ。さほど專修の人などは候ら
J17_0128B23: めと。おしはかり哀に覺候。但無智の人にこそ機縁
J17_0128B24: にしたがひて。念佛をばすすむる事にてあれども。
J17_0128B25: 申候なる事はもろもろのひが事にて候。阿彌陀佛の
J17_0128B26: むかしの御誓ひに。有智無智をもゑらばず。持戒破
J17_0128B27: 戒をも嫌はず。佛前佛後の衆生をもえらばず。在家
J17_0128B28: 出家の人をも嫌はず。念佛往生の誓願は。平等の慈
J17_0128B29: 悲に住して。發給たる事にて候へば。人を嫌ふ事は
J17_0128B30: 全く候はぬ也。佛の御心は慈悲をもて。體とする事
J17_0128B31: にて候也。されば觀無量壽經には。佛心といふは。
J17_0128B32: 大慈悲是也と説て候也。善導和尚。此文をうけては。
J17_0128B33: 此平等の慈悲をもて。あまねく一切を攝すと釋給
J17_0128B34: へる也。一切のあわれみ廣くして。もるる人候へか

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