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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0120A01: 淨土の法門を見立たり。來臨し給へ。靜に談じ申さ
J17_0120A02: んと。爰に上人。東大寺の大勸進俊乘房重源は。い
J17_0120A03: まだ出離の道を思定ざるがゆへに。此よしを示す。
J17_0120A04: 則弟子三十餘人を相具して。大原にむかう。勝林院
J17_0120A05: の丈六堂に集會す。上人方には、重源已下。次第に
J17_0120A06: より。座主の方には山門の碩德。并大原の上人達坐
J17_0120A07: す。山門久住の碩學には。永辨法印。智海法印。靜
J17_0120A08: 嚴法印。淨然法印。證眞僧都。覺什僧都。仙基律師
J17_0120A09: 等也。大原の上人には本性房湛斅。來迎院の明定房
J17_0120A10: 蓮慶。勝林院の淸淨房等也。此外山門の衆徒。雲霞
J17_0120A11: のごとく集て見聞す。各蓄杖を支度して。上人の所
J17_0120A12: 立若邪義ならば。即降伏すべきよし也。面面に諸宗
J17_0120A13: に立入て深義を論談し侍けるに。上人。天台眞言華
J17_0120A14: 嚴法相三論等の顯密に付て。凡夫の初心より佛果の
J17_0120A15: 極位に至るまで。修行の方軌。機法の相貌。具に述
J17_0120A16: 説後。是等の深法。みな義理巧妙にして利益最勝也。
J17_0120A17: 機法相應せば。得益踵をめぐらすべからず。取證如
J17_0120B18: 反掌の金言まこと也。全く疑所なし。但源空がごと
J17_0120B19: き頑魯の類ひは。更に其器にあらず。然間源空發心の
J17_0120B20: 後。聖道門の諸宗に付て。ひろく出離の道をとぶら
J17_0120B21: ふに。彼も難く是も難し。是則時下り人愚にして。
J17_0120B22: 機敎相背けるゆへ也。此外有智無智を論ぜず。持戒
J17_0120B23: 破戒を選ばず。時機相應して。順次に生死を離べき
J17_0120B24: 要法は。ただこれ淨土の一門。念佛の一行也とて。一
J17_0120B25: 日一夜の間。法藏比丘の昔より彌陀如來の今に至る
J17_0120B26: まで。本願の趣。往生の道に暗からず。理を極め詞
J17_0120B27: をつくして。但これ涯分の自證をのぶる也。全く其
J17_0120B28: 法器の受用をさまたげんとにはあらずとの給ひけれ
J17_0120B29: ば。座主より初て。滿座の衆みな信伏して。一人と
J17_0120B30: して疑なし。碩德達褒美して云。形を見れば源空上
J17_0120B31: 人。まことには彌陀如來の應垂歟と。隨喜のあまり
J17_0120B32: に。座主みづから香爐を取て行道し。高聲念佛を唱
J17_0120B33: へ給に。顯密の明匠まことをこらして。異口同音に。
J17_0120B34: 三日三夜ひまもなし。信男信女三百餘人。參禮の聽

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