浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0117A01: | 趣をのべ給ふに。重源左右なく領狀す。よて擧し申 |
J17_0117A02: | されければ。大勸進の職に補任せられけり。重源も |
J17_0117A03: | し此大勸進成就したらば。一定の權者かな迚。上人 |
J17_0117A04: | の給ひける。重源は伊勢大神宮にまいりて。この願 |
J17_0117A05: | 成就すべくば。其瑞相をしめし給へと祈請しける |
J17_0117A06: | に。三七日にあたりける五更の天に。唐裝束したる |
J17_0117A07: | 貴女の。御手より方寸の玉をたまわると。示現をか |
J17_0117A08: | うぶりて。夢さめてのち。これを見るに。夢に見る |
J17_0117A09: | 所の玉。袖の上にあり。重源悅で頭にかけられけり。 |
J17_0117A10: | 其後。すすめさるに。綾羅錦繡。錢貨米穀。心にま |
J17_0117A11: | かせければ。ほどなく金銅の本尊を。本のごとく鑄 |
J17_0117A12: | たてまつりけるに。御戒の布施に。上人に奉りける |
J17_0117A13: | 本三位中將の双紙筥の鏡を。かの孝養のためとし |
J17_0117A14: | て。上人より俊乘房へ送りつかはしければ。金銅の |
J17_0117A15: | 本尊を鑄奉りける爐の中へ入給ひけるに。おどりか |
J17_0117A16: | へりて。わきあはざりけるを。三度まで入れけれど |
J17_0117A17: | も。爐の中よりふきいだして。遂にたまらざりけれ |
J17_0117B18: | ば。且は中將の罪障懺悔のため。且は未來の不審を |
J17_0117B19: | ひらかん爲に。件の鏡は。大佛殿の正面。坤の柱に |
J17_0117B20: | うちつけられき。炎魔大王の淨波梨の鏡は。罪業の |
J17_0117B21: | かげをうかべ。目連尊者の所持の鏡は。三世の事を |
J17_0117B22: | てらす。百練の鏡は。ひかりも世にこへ。うつれる |
J17_0117B23: | 影もあざやか也。今此重衡卿の鏡は。ただ罪業のか |
J17_0117B24: | げ斗にや。うつらんと。身の毛もよたつぞ恐しきと |
J17_0117B25: | 覺へける。 |