浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0116A01: | 念罪皆除。唱へば罪業のこりなし。罪障を消滅して。 |
J17_0116A02: | 極樂往生を遂ん事。他力本願にしくはなし。御榮果 |
J17_0116A03: | むかしも今もためしなき御身也。然ども有爲の境の |
J17_0116A04: | かなしきは。いまだ生をかへざるに。かかるうき目 |
J17_0116A05: | を御らんずるうへは。穢土はうたてき所ぞとうれへ |
J17_0116A06: | 思召捨て。ふかく彌陀の本願をたのみましまさば。 |
J17_0116A07: | 御往生疑有べからず。これ全く源空の私の詞にあら |
J17_0116A08: | ず。彌陀因位の悲願。或は釋尊成道の時。説をき給 |
J17_0116A09: | へる經敎也。一念も疑心なく。一心に稱名をたしな |
J17_0116A10: | み給ふべきよし。こまごまと敎化し給へば。中將掌 |
J17_0116A11: | を合て。なくなく聽聞して。冥より冥に入心ちにて |
J17_0116A12: | 侍つるに。此仰を承る社。さりともとたのもしく侍 |
J17_0116A13: | れと悅で。いかにして都にてむつび給し人の許に。 |
J17_0116A14: | 双紙筥をとりわすれ給事の有けるを。入御の御事も |
J17_0116A15: | やとて。送り遣しけり。折節うれしく覺て。中將自 |
J17_0116A16: | とり出て。御戒の布施とおぼしくて。上人の御まへ |
J17_0116A17: | に指置て申されけるは。御用たるものには侍ねども。 |
J17_0116B18: | 人にはかならず形見と申事あり。重衡が餘波とも。 |
J17_0116B19: | 御らんじ思召ば。いつも不退の御念佛なれば。御目 |
J17_0116B20: | にかかり候はん度には。とり分。重衡が爲と。御囘 |
J17_0116B21: | 向有べきよしを申されければ。心ざし感じて。上人 |
J17_0116B22: | 懷中して出られけり。 |
J17_0116B23: | 俊乘房大勸進事 |
J17_0116B24: | 東大寺造營の爲に。大勸進の聖の沙汰ありけるに。 |
J17_0116B25: | 法然房源空其仁にあたれりと。人人すすめ申により |
J17_0116B26: | て。勸進聖たるべきむね。後白河法皇より。右大 |
J17_0116B27: | 辨行隆朝臣を勅使として。仰下されけるに。上人申 |
J17_0116B28: | されけるは。源空山門の交衆をとどめ。公請を辭 |
J17_0116B29: | し申事は。しづかに修行して。順次に生死を離れん |
J17_0116B30: | が爲也。もし大勸進の職におらば。忩劇ひまなくし |
J17_0116B31: | て。行業すたれぬべしと。かたく子細を申されけれ |
J17_0116B32: | ば。行隆朝臣。其堅固の心ざしを見て。即奏聞する所 |
J17_0116B33: | に。然らば器量の仁を擧申さるべしと。重て仰下さ |
J17_0116B34: | れける時。上人。俊乘房重源をよびよせて。院宣の |