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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0116A01: 念罪皆除。唱へば罪業のこりなし。罪障を消滅して。
J17_0116A02: 極樂往生を遂ん事。他力本願にしくはなし。御榮果
J17_0116A03: むかしも今もためしなき御身也。然ども有爲の境の
J17_0116A04: かなしきは。いまだ生をかへざるに。かかるうき目
J17_0116A05: を御らんずるうへは。穢土はうたてき所ぞとうれへ
J17_0116A06: 思召捨て。ふかく彌陀の本願をたのみましまさば。
J17_0116A07: 御往生疑有べからず。これ全く源空の私の詞にあら
J17_0116A08: ず。彌陀因位の悲願。或は釋尊成道の時。説をき給
J17_0116A09: へる經敎也。一念も疑心なく。一心に稱名をたしな
J17_0116A10: み給ふべきよし。こまごまと敎化し給へば。中將掌
J17_0116A11: を合て。なくなく聽聞して。冥より冥に入心ちにて
J17_0116A12: 侍つるに。此仰を承る社。さりともとたのもしく侍
J17_0116A13: れと悅で。いかにして都にてむつび給し人の許に。
J17_0116A14: 双紙筥をとりわすれ給事の有けるを。入御の御事も
J17_0116A15: やとて。送り遣しけり。折節うれしく覺て。中將自
J17_0116A16: とり出て。御戒の布施とおぼしくて。上人の御まへ
J17_0116A17: に指置て申されけるは。御用たるものには侍ねども。
J17_0116B18: 人にはかならず形見と申事あり。重衡が餘波とも。
J17_0116B19: 御らんじ思召ば。いつも不退の御念佛なれば。御目
J17_0116B20: にかかり候はん度には。とり分。重衡が爲と。御囘
J17_0116B21: 向有べきよしを申されければ。心ざし感じて。上人
J17_0116B22: 懷中して出られけり。
J17_0116B23: 俊乘房大勸進事
J17_0116B24: 東大寺造營の爲に。大勸進の聖の沙汰ありけるに。
J17_0116B25: 法然房源空其仁にあたれりと。人人すすめ申により
J17_0116B26: て。勸進聖たるべきむね。後白河法皇より。右大
J17_0116B27: 辨行隆朝臣を勅使として。仰下されけるに。上人申
J17_0116B28: されけるは。源空山門の交衆をとどめ。公請を辭
J17_0116B29: し申事は。しづかに修行して。順次に生死を離れん
J17_0116B30: が爲也。もし大勸進の職におらば。忩劇ひまなくし
J17_0116B31: て。行業すたれぬべしと。かたく子細を申されけれ
J17_0116B32: ば。行隆朝臣。其堅固の心ざしを見て。即奏聞する所
J17_0116B33: に。然らば器量の仁を擧申さるべしと。重て仰下さ
J17_0116B34: れける時。上人。俊乘房重源をよびよせて。院宣の

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