浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0115A01: | に入べき故に侍ける。重衡必しも大佛殿を燒奉らん |
J17_0115A02: | といふ所存は候はず。故入道の命そむき難により |
J17_0115A03: | て。南都へむかひ侍し時。いかなるものかしつら |
J17_0115A04: | ん。近邊の房舍に火をかけ侍しに。時しも風はげし |
J17_0115A05: | くして。大伽藍を灰燼となし奉し事は。不及力次 |
J17_0115A06: | 第也。重衡發心せぬ事なればとは存ずれども。時の |
J17_0115A07: | 大將軍にて侍しうへは。責一身に歸する事にて侍る |
J17_0115A08: | なれば。重衡一人が。罪業につもりて。無間の重苦 |
J17_0115A09: | はうたがひあらじと存知せり。一門の人人多く侍し |
J17_0115A10: | に。重衡一人いけどられて。ここかしこに耻をさら |
J17_0115A11: | すも。併其報とこそおぼへ侍れ。かくて命終せば火 |
J17_0115A12: | 血刀の苦果。敢てうたがひなし。出家こそ心ざす所 |
J17_0115A13: | なれども。ゆるされなければ不及力。只本とりを |
J17_0115A14: | つけながら。戒をうけ候はん事いかが侍べき。かか |
J17_0115A15: | る惡人の助かりぬべき方法侍らば。示給へと。うち |
J17_0115A16: | くどき申されければ。上人涙をながして。暫く物も |
J17_0115A17: | の給はず。良久ありてのたまひけるに。誠御出家社功 |
J17_0115B18: | 德廣大なれども。御ゆるされなくば。四部の弟子な |
J17_0115B19: | れば。御髮つけながらも。戒を持せ給はん事。子細 |
J17_0115B20: | 有べからずとて。戒を授たてまつりて。粗存知の旨 |
J17_0115B21: | を説たまふ。難受人身をうけながら。むなしく三 |
J17_0115B22: | 途に歸り給はんことは。かなしみてもなを餘あり。 |
J17_0115B23: | 歎ても又盡べからず。然に穢土を厭。淨土を欣ひ。 |
J17_0115B24: | 惡心をすて。善心を發し給はん事は。三世の諸佛も |
J17_0115B25: | 定めて隨喜し給ふべし。其にとりて出離の道まちま |
J17_0115B26: | ちなりといへども。末法濁亂の機には。稱名をもて。 |
J17_0115B27: | 勝たりとす。罪業深重の輩も。愚癡闇鈍の族も。唱 |
J17_0115B28: | ればむなしからざるは。彌陀の本願也。罪ふかけれ |
J17_0115B29: | ばとて卑下し給べからず。十惡五逆も囘心すれば往 |
J17_0115B30: | 生し。一念十念も心をいたせば來迎す。經には四重 |
J17_0115B31: | 五逆諸衆生。一聞名號必引接と説き。釋には忽遇往 |
J17_0115B32: | 生善知識。急勸專稱彼佛名と判ぜり。たとひ無間の |
J17_0115B33: | 重罪なりといふとも。稱名の功德にはかつべから |
J17_0115B34: | ず。利劒即是彌陀號。たもてば魔縁近付す。一聲稱 |